媒介契約の違いは5つ|一般・専任・専属専任を比較し自分で選ぶ

「専任媒介で進めましょう」と勧められ、そのまま決めてよいか迷っていませんか。

一般・専任・専属専任は名前が似ていて、違いやメリットがつかみにくいものです。

この記事を読めば、3種類を同じ目線で見比べ、自分に合う一つを根拠を持って選べます。

媒介契約の違い|一般・専任・専属専任を比較表で確認

媒介契約には一般・専任・専属専任の3種類があり、違いは5つの軸に絞られます。

どの契約を選んでも仲介手数料は変わらず、決めるのは売主自身です。この記事では5つの違いを一つずつ見比べ、自分の状況に合う一つを選ぶための地図として使えます。

媒介契約とは(一般・専任・専属専任の3種類)

媒介契約は不動産の売却を会社に依頼するときに結ぶ契約です。

種類は一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3つで、名前は似ていても会社への任せ方が異なります。売主はこの中から一つを選んで契約します。

媒介は仲介とも呼ばれ、契約内容は会社から書面で交付されます。仲介業務の範囲や報告のしかた、契約期間などがこの書面に記されています。

媒介契約の違いを決める5つのポイント

3種類の違いは次の5つのポイントに整理できます。

契約形態によって変わるのはおもに次の5点で、ここが3種類を見分ける軸になります。

  • 依頼できる会社数:1社のみか、複数社か
  • 自己発見取引:自分で見つけた買主と直接契約できるか
  • レインズ登録:物件情報が他社にどこまで共有されるか
  • 業務報告:売却活動の進み具合がどれだけ見えるか
  • 契約期間:どのくらいの期間で区切られ、見直せるか

名前の印象よりも、この5点がどうなっているかで実際の使い勝手が決まります。この5点は売却の速さ、活動の見えやすさ、売主の自由度に関わるため、すべてを満たす一つの形があるわけではなく、自分が何を優先するかで選ぶことになります。

一般・専任・専属専任の違い早わかり比較表

5つの違いを3種類で横に並べると、全体像が一目で掴めます。

項目一般媒介専任媒介専属専任媒介
依頼できる会社数複数社1社1社
自己発見取引できるできるできない
レインズ登録任意7営業日以内5営業日以内
業務報告義務なし2週に1回以上1週に1回以上
契約期間定めなし(※)最長3ヶ月最長3ヶ月

(※一般媒介は法律上の契約期間の定めがなく、標準媒介契約約款では3ヶ月以内で協議して定めるとされています)

表を上から順に見ると、一般から専属専任へ進むほど会社への縛りと情報共有が強まります。会社の関与が深まる分だけ、売主が自由に動ける範囲は狭くなります。

表だけで答えを決める必要はありません。複数社へまとめて頼みたいのか、それとも1社に任せて状況を細かく把握したいのか、自分がどちらに近いかを意識すると候補がしぼれてきます。

どの契約を選んでも仲介手数料の上限は同じで、種類によって金額が増えることはありません。種類選びで決まるのは費用ではなく、売り方の進め方そのものです。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」

出典: 国土交通省「不動産流通について(宅地建物取引業者が受けることができる報酬の額)」

依頼できる会社数の違い|1社に絞るか複数社に任せるか

3種類を最も大きく分けるのは、依頼できる会社数の違いです。

専任型は1社、一般型は複数社に任せる形で、ここが「1社に縛られたくない」「複数社なら高く売れそう」という二つの関心の分かれ目になります。会社数の違いは、各社の動き方や売主の手間に大きくかかわってきます。

1社のみに任せる専任型と、複数社に任せる一般型で変わること

会社数が変わると、各社の力の入れ方と売主の窓口の数が変わります。

1社に任せる専任型は、その会社が売れれば必ず仲介手数料を受け取れるため、責任を持って活動を進めやすい立場になります。複数社に任せる一般型は、他社で売れると報酬がゼロになるため、各社の力の配分が読みにくくなります。

広告費は売れたときの仲介手数料でまかなう仕組みのため、空振りのリスクがある一般型では費用をかけにくい会社もあります。1社に絞る専任型は費用を回収できる見込みが立ちやすく、広告に踏み込みやすくなります。

専任型は連絡や調整の窓口が1社にまとまり、やり取りの手間が減ります。一般型は複数社と並行して進めるため、内見の調整や状況の把握に手間がかかります。

「複数社に頼むほど高く早く売れる」とは限らない理由

複数社に頼めば高く早く売れる、とは限りません。

複数社に依頼しても、買主を探す市場やレインズの情報はどの会社も共通です。声をかける会社が増えても買える人の数が大きく増えるわけではなく、同じ物件を各社が別々に売り出す形になります。

むしろ各社が広告に踏み込みにくくなり、売主が複数社とやり取りする手間も増えます。価格を最終的に決めるのは市場の相場で、依頼する会社数そのものが売値を押し上げるわけではありません。

ただし人気の高い物件では、複数社を競わせて条件を引き出せる場合もあります。

会社数の違いから見た、一般と専任の向き不向き

会社数という一点だけで見ると、向いている人は分かれます。

売却を急がず、複数社の反応を見ながら自分でも動きたい人には、一般型が合います。秘密にせず幅広く声をかけたい場合にも向いています。

1社にしっかり任せ、活動の状況も把握しながら進めたい人には、専任型が合います。やり取りの窓口を一つにまとめ、手間を抑えたい場合にも向いています。

自己発見取引の違い|自分で見つけた買主と直接契約できるか

自分で買主を見つけたとき直接契約できるかは、専属専任だけができません。

一般と専任は自分で見つけた相手と直接契約できますが、専属専任ではできません。知人や親族に売れる可能性がある人にとっては大きな差になりますが、心当たりがなければ影響は小さくなります。

直接契約できる契約と、専属専任だけができない理由

自分で買主を見つけて直接契約できるのは、一般と専任の2つです。

一般と専任では、売主が自分で見つけた相手と、不動産会社を通さずに売買契約を結べます。知人や親族など、心当たりのある相手に直接売れる形です。

専属専任ではこれが認められておらず、自分で見つけた買主とも会社を介して契約します。1社に活動を任せきる契約のため、売主が独自に取引する余地を残していません。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」

知人や親族に売れる可能性がある人が注意すべき違い

専属専任で知人に売れた場合は、仲介手数料がかかる点に注意が必要です。

専属専任では自己発見取引ができないため、知人や親族が買い手になっても会社を通します。この場合、自分で見つけた相手であっても仲介手数料が発生します。

同じ相手でも、一般や専任で契約しておけば直接取引ができ、手数料を抑えられます。買い手の心当たりがあるなら契約前に確認しておくと安心で、心当たりがなければこの違いで悩む必要はほとんどありません。

売却活動の見える化の違い|レインズ登録と報告義務

売却活動が売主からどれだけ見えるかは、一般は見えにくく、専任型は見えやすくなります。

レインズへの登録と会社からの報告という二つの仕組みで、活動の様子の伝わり方が変わります。専任型ほど物件情報が共有され、進み具合も定期的に届きます。

レインズ登録義務の違い(物件情報がどこまで広く公開されるか)

レインズへの登録は、一般が任意、専任が7営業日以内、専属専任が5営業日以内と差があります。

レインズは不動産会社どうしが物件情報を共有する仕組みで、登録されると全国の会社が買主候補に紹介できます。登録が早く確実なほど、物件が多くの会社の目に触れます。

一般は登録が任意のため、他社へ情報が広がらないまま売り出される場合があります。専任と専属専任は登録が義務で期限も決まっているため、情報が広く共有されやすくなります。

専任と専属専任では、登録時に発行されるIDで売主自身がレインズ上の登録内容を確認できます。なお、登録されていても他社の問い合わせを断る「囲い込み」は別の問題で、登録の有無だけでは見抜けません。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」

出典: 公益財団法人 東日本不動産流通機構「媒介契約制度(売却依頼主向けの登録内容確認)」

業務報告義務の違い(売却活動の進捗がどれだけ見えるか)

活動の報告は、一般が義務なし、専任が2週に1回以上、専属専任が1週に1回以上です。

専任と専属専任では、反響の数や内見の状況などが決められた頻度で売主へ届きます。定期的に連絡が来るため、活動が進んでいるかを把握しやすくなります。

一般には報告の義務がなく、状況を知りたいときは売主から各社へ問い合わせます。複数社に同時に依頼している場合は、それぞれの進み具合を自分で追う手間がかかります。

見える化の違いから、活動状況を把握したい人に向く契約

活動の様子をこまめに知りたい人には、専任型が合います。

定期的な報告とレインズの登録確認があるため、進み具合を見ながら安心して任せたい人には専任や専属専任が向いています。任せきりにせず状況を確かめながら進めたい場合に合います。

一方、自分で各社に連絡を取りながら動ける人や、こまめな報告を必ずしも求めない人には、一般でも不便は小さくなります。どこまで見えていれば安心できるかが、選ぶときの目安になります。

契約期間と解約の違い|どれだけ縛られ、途中で変えられるか

専任型は最長3ヶ月で区切られますが、合わなければ更新せずに乗り換えられます。

一般は法律上の期間の定めがなく、専任と専属専任は最長3ヶ月です。期間で区切られても自動では延長されず、満了のタイミングで会社を変えられるため、縛られすぎる心配は小さくなります。

契約期間の違い(一般は定めなし、専任型は最長3ヶ月)

契約期間は、一般が法律上の定めなし、専任と専属専任が最長3ヶ月です。

専任と専属専任では、1回の契約が3ヶ月を超えないように決められています。期間が来ても自動では更新されず、続けるには売主からの申し出が必要です。

一般には法律上の期間の定めがなく、標準媒介契約約款では3ヶ月以内で話し合って決めるとされています。どの契約でも、一つの会社に半永久的に縛られるわけではありません。

合わない会社を途中で変えられるか(更新・解約の違い)

合わないと感じた会社は、期間の満了や途中解約で変えられます。

最もすっきり変えられるのは、期間が満了するタイミングです。専任と専属専任は自動で更新されないため、更新せずに別の会社へ切り替えられます。

期間の途中でも、会社が報告やレインズ登録などの義務を守らない場合は、違約金なしで解除できます。一方、売主の都合で途中解約し、他社や自分で見つけた相手と契約すると、約定報酬額や活動にかかった実費を求められることがあります。

解約時に費用を求められたら、広告費などの内訳を明細で確認すると安心です。金額に疑問があれば、言われたまま全額を支払う必要はありません。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」

媒介契約の違いを踏まえた選び方|あなたに合うのはどれか

ここまでの違いを「あなたはどれか」に当てはめると、選ぶべき契約は一つに絞れます。

会社数・自己発見取引・見える化・契約期間の四つを、自分の物件と事情に重ねて考えます。すべてを満たす正解はなく、何を優先するかで答えが決まります。

「専任で」と勧められたとき、違いのどこを見て判断するか

「専任で」と勧められても鵜呑みにせず、四つの違いのうちどれを重視するかで判断します。

専任を勧める背景には、1社に任せてもらえれば会社が活動に集中しやすいという事情があります。これは売主にとっても、責任の所在がはっきりして報告も受けやすいという利点と重なります。

一方で、会社側の都合と売主の利益が完全に一致するとは限りません。秘密にせず広く売り出したい場合や、自分でも買主を探したい場合は、専任が最適とは言えないこともあります。

大切なのは、勧められた形をそのまま受けるのではなく、会社数・自己発見・見える化・期間のうち、自分がどこを重視するかで決めることです。判断の主導権は売主にあります。

物件タイプ・売却事情別の選び方(戸建て・人気物件・急ぎ・初めて)

物件のタイプや売り急ぎ度によって、合う契約はおおむね絞り込めます。

代表的な事情ごとに整理すると、次のように見当がつきます。

売却の事情合いやすい契約押さえどころ
人気エリア・好条件の物件一般複数社を競わせ条件を引き出しやすい
戸建てなど個別性が高い物件専任1社が物件に合わせて丁寧に動きやすい
とにかく早く確実に売りたい専任・専属専任活動が集中し広告も入りやすい
初めてで手間を抑えたい専任窓口が一つで報告も定期的に届く
知人・親族に売る見込みがある一般・専任自己発見取引で手数料を抑えられる

当てはまる事情が複数あるときは、最も優先したいものを一つ選びます。早さを優先するなら専任型、自由度を優先するなら一般というように、軸を一つに決めると迷いが減ります。

どれにも強く当てはまらない場合は、無理に専属専任まで絞らず、一般か専任のどちらかで考えれば十分です。

迷ったら一般か専任か、最後の決め方

最後まで迷ったら、多くの場合は一般か専任のどちらかで決めれば十分です。

複数社の反応を見ながら自分でも動きたいなら一般、1社に任せて報告を受けながら進めたいなら専任が基準になります。専属専任は、専任よりさらに会社へ任せきりたい場合の選択です。

どの形でも、まず複数の会社に査定を依頼して対応を見比べてから、契約の種類を自分で決めると安心です。会社を選んでから契約形態を決める順番にすると、納得して任せられます。

まとめ:媒介契約は違いを見比べて自分で選ぶ

媒介契約には一般・専任・専属専任の3種類があり、違いは依頼できる会社数や活動の見え方など5つの軸に整理できます。どれを選んでも仲介手数料は変わりません。

大切なのは名前ではなく、速さ・自由度・活動の見えやすさのどれを優先するかです。勧められた形を鵜呑みにせず自分の事情に合う一つを選べば、納得して売却を進められます。

まずは複数の会社に査定を依頼し、対応や提案を見比べてから契約の種類を決めると安心です。信頼できる会社を見つけたうえで、主体的に媒介契約を選びましょう。