築年数の古い戸建てに値はつくのか、ローンが残っていても売れるのか、と不安になる方は多いはずです。
戸建ての売却には、土地や境界、費用や税金など、マンションとは違う論点がいくつもあります。
この記事で全体像と自分のケースの進め方をつかめば、迷わず最初の一歩を踏み出せます。
戸建て売却はまず「売れる資産か」を見極める|建物より土地で考える
古い戸建てでも、建物と土地を分けて考えれば、土地の価値で売れる見込みは十分にあります。
建物の価値が下がっても土地に値が残る理由から、マンションとの違い、ローンが残るときの考え方までを整理し、まず全体像をつかみます。
築20年超の戸建ては建物価値ゼロでも「土地値」で売れる
築20年を超えた木造の戸建てでも、建物の評価がほとんど残らない状態で、土地の価値で売れるケースは多くあります。
木造住宅の法定耐用年数は税法上22年です。査定でも築20〜25年あたりで建物の評価がほぼ残らない扱いになりやすく、これが「古い家には値がつかない」という不安の正体です。ただし耐用年数は住めなくなる年数ではなく、評価の上で価値を見込まなくなる期間にすぎません。
土地は時間が経っても物理的に劣化しません。だから建物の評価がゼロに近づいても、その下の土地には値が残ります。築古の戸建てが売れるのは、この土地の価値が価格を支えているからです。
市場全体でも、中古戸建ての価格は底堅く推移しています。国の不動産価格指数を見ると、2025年12月時点(令和7年12月分)の戸建住宅は121.9で、基準となる2010年の100を上回る水準が続いています。
出典: 不動産価格指数(令和7年12月・第4四半期分)(国土交通省)
戸建て売却がマンションと違う3つのポイント(土地と建物・境界・売り方)
戸建ての売却がマンションと大きく違うのは、土地と建物の評価、境界の確認、売り方の選択肢という3つの点です。
マンションは建物の専有部分が評価の中心ですが、戸建ては土地と建物をそれぞれ評価します。土地という資産を持つ分、判断するポイントが増えます。
| 観点 | マンション | 戸建て |
|---|---|---|
| 評価 | 建物(専有部分)が中心 | 土地と建物を分けて評価 |
| 境界 | 敷地境界の確認は基本不要 | 隣地との境界を売主が確認 |
| 売り方 | おおむね現況のまま | 現況・古家付き土地・更地 |
戸建てでは、隣地との境界がはっきりしているかが、評価と引き渡し後の安心に関わります。マンションのように管理組合が敷地を管理する仕組みがなく、土地の範囲を売主が示す必要があるためです。
売り方も一つではなく、選んだ方法しだいで手取りや売却までの期間が変わります。
住宅ローンが残っていても戸建ては売却できる
住宅ローンが残っていても、戸建ては売却できます。
売却代金でローンを完済し、担保として設定された抵当権を抹消したうえで引き渡すのが基本です。残債が売却額の範囲に収まれば、手元の現金を大きく使わずに売却を進められます。
残債が売却額を上回るオーバーローンの場合でも、売却の道が閉ざされるわけではありません。新居の住宅ローンに残債を上乗せできる住み替えローンを使えば、買い替えとして売却を進める方法があります。
戸建て売却はまず「売れる資産か」を見極める|建物より土地で考える
古い戸建てでも、建物と土地を分けて考えれば、土地の価値で売れる見込みは十分にあります。
建物の価値が下がっても土地に値が残る理由から、マンションとの違い、ローンが残るときの考え方までを整理し、まず全体像をつかみます。
築20年超の戸建ては建物価値ゼロでも「土地値」で売れる
築20年を超えた木造の戸建てでも、建物の評価がほとんど残らない状態で、土地の価値で売れるケースは多くあります。
木造住宅の法定耐用年数は税法上22年です。査定でも築20〜25年あたりで建物の評価がほぼ残らない扱いになりやすく、これが「古い家には値がつかない」という不安の正体です。ただし耐用年数は住めなくなる年数ではなく、評価の上で価値を見込まなくなる期間にすぎません。
土地は時間が経っても物理的に劣化しません。だから建物の評価がゼロに近づいても、その下の土地には値が残ります。築古の戸建てが売れるのは、この土地の価値が価格を支えているからです。
市場全体でも、中古戸建ての価格は底堅く推移しています。国の不動産価格指数を見ると、2025年12月時点(令和7年12月分)の戸建住宅は121.9で、基準となる2010年の100を上回る水準が続いています。
出典: 不動産価格指数(令和7年12月・第4四半期分)(国土交通省)
戸建て売却がマンションと違う3つのポイント(土地と建物・境界・売り方)
戸建ての売却がマンションと大きく違うのは、土地と建物の評価、境界の確認、売り方の選択肢という3つの点です。
マンションは建物の専有部分が評価の中心ですが、戸建ては土地と建物をそれぞれ評価します。土地という資産を持つ分、判断するポイントが増えます。
| 観点 | マンション | 戸建て |
|---|---|---|
| 評価 | 建物(専有部分)が中心 | 土地と建物を分けて評価 |
| 境界 | 敷地境界の確認は基本不要 | 隣地との境界を売主が確認 |
| 売り方 | おおむね現況のまま | 現況・古家付き土地・更地 |
戸建てでは、隣地との境界がはっきりしているかが、評価と引き渡し後の安心に関わります。マンションのように管理組合が敷地を管理する仕組みがなく、土地の範囲を売主が示す必要があるためです。
売り方も一つではなく、選んだ方法しだいで手取りや売却までの期間が変わります。
住宅ローンが残っていても戸建ては売却できる
住宅ローンが残っていても、戸建ては売却できます。
売却代金でローンを完済し、担保として設定された抵当権を抹消したうえで引き渡すのが基本です。残債が売却額の範囲に収まれば、手元の現金を大きく使わずに売却を進められます。
残債が売却額を上回るオーバーローンの場合でも、売却の道が閉ざされるわけではありません。新居の住宅ローンに残債を上乗せできる住み替えローンを使えば、買い替えとして売却を進める方法があります。
戸建て売却の流れと期間の全体像|査定から引き渡しまでを俯瞰する
戸建ての売却は、査定から引き渡しまでおおむね3〜6カ月かけて進みます。
全体の流れと各段階のつながり、戸建てが時間のかかりやすい理由を地図のように見渡し、いま自分がどこにいるかをつかめるようにします。
戸建て売却の全体フロー(査定→媒介→売却活動→契約→決済)
戸建ての売却は、大きく5つの段階を順にたどって進みます。
査定 → 媒介契約 → 売却活動(内覧・交渉)→ 売買契約 → 決済・引き渡し
最初に複数社の査定で価格の見当をつけ、依頼する会社と媒介契約を結びます。そこから売却活動が始まり、内覧や価格交渉を経て買主が決まります。
買主と条件が合えば売買契約を結び、後日の決済で残代金を受け取って引き渡します。ローンが残っていれば、完済と抵当権の抹消はこの決済の場でまとめて行います。
売却にかかる期間の目安と、戸建てが時間のかかる理由
売却にかかる期間はおおむね3〜6カ月で、戸建てはマンションより長引きやすい傾向があります。
売り出しから買主が決まるまでが1〜3カ月、契約から引き渡しまでが1〜2カ月が目安です。市場全体では取引が活発で、2025年の首都圏の中古戸建ては成約件数が2万1,632件と2年連続で前年を上回りました。
出典: 首都圏不動産流通市場の動向(2025年)(東日本不動産流通機構)
戸建ては土地の広さや形、接道の状況、築年数まで一軒ごとに条件が異なります。買主はこれらを一つずつ確かめて判断するため、規格のそろったマンションより買い手が決まるまでに時間がかかりやすいのです。
築古戸建ての売却は「売り方」で結果が変わる|現況・古家付き土地・更地の3択
築古の戸建ては、選ぶ売り方しだいで手取りと売却期間が大きく変わります。
3つの売り方を同じ物差しで見比べ、資金や時間、相続の有無といった状況から自分に近い選択肢を見つけます。
| 売り方 | 向いているケース | 費用と期間 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 現況のまま | 費用を抑えて早く売りたい | 持ち出しが少ない | 買主が値引きを求めやすい |
| 古家付き土地 | 建物に価値が見込めない | 解体費を負担せず売り出せる | 引き渡し後の責任の範囲を確認 |
| 更地 | 土地を探す買主に売りたい | 解体費が先に必要 | 固定資産税が上がる |
そのまま売る(現況)が向いている戸建て
現況のまま売る方法は、費用と手間を抑えて早く売りたい場合に向いています。
解体や測量にお金をかけず、今ある状態のまま買主を探すのが現況での売却です。持ち出しが少なく、売り出しまでの動きが早いのが利点です。
ただし建物が古いほど、買主から値引きを求められやすくなります。住宅として使える状態か、土地として見られるかで、提示できる価格は変わってきます。
古家付き土地として売るのが有利なケース
古家付き土地は、建物に価値が見込めない戸建てを、解体せず土地として売り出す方法です。
建物を壊さず残したまま、価格は土地値を中心に設定して売り出します。売主は解体費を負担せずに済み、買主が必要に応じて取り壊す前提で話が進みます。
建物が建っている間は、土地に小規模住宅用地の特例が適用され、固定資産税の課税標準が200㎡まで6分の1に抑えられます。更地にして特例が外れる前に売り出せるのが、税の面での利点です。
出典: 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置(国土交通省)
一方で、古い建物が残る分、買主は解体費や状態を見込んで価格を判断します。引き渡し後のトラブルを避けるため、建物の不具合をどこまで売主が負うかを契約で決めておくことが欠かせません。
解体して更地で売るべきか(解体費と固定資産税の損得)
更地での売却は売りやすさにつながる一方、解体費の負担と固定資産税の上昇という二つの出費を見込む必要があります。
建物がない更地は、土地を探す買主や新築を考える買主が検討しやすく、売却の話が進みやすくなります。古家の状態を気にせず土地そのものを評価してもらえるため、価格の見通しも立てやすくなります。
一方で、解体費は売主が先に負担します。木造戸建ての解体費は延べ床面積1坪あたり4〜6万円ほどが目安で、30坪なら120〜180万円前後を見込んでおくと安心です。
さらに、更地にすると小規模住宅用地の特例が外れます。住宅が建っていれば200㎡まで6分の1だった固定資産税の課税標準が元に戻り、税額が数倍に上がる点に注意が必要です。
出典: 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置(国土交通省)
相続した実家を更地で売る場合は、空き家の3,000万円特別控除との関係も確かめておきます。この控除は建物を取り壊して売る方法でも使えますが、対象は昭和56年5月31日以前に建てられた家屋などに限られ、適用は2027年12月31日までの譲渡が期限です。
出典: 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)
現況のまま売るか更地にするかで、手元に残る金額は変わります。両方の見込みを知るには、複数社の査定で価格のレンジを比べておくのが近道です。
戸建て売却にかかる費用と税金|手取りを左右する戸建て特有の項目
戸建ての手取りは、売却額から費用と税金を引いた金額で決まります。
戸建て特有の測量や解体といった費用と、税金を抑える特別控除の存在を押さえ、手取りの全体像をつかみます。
戸建て売却の費用は売却額の5〜7%が目安(測量・解体に注意)
売却にかかる費用は、売却額のおおむね5〜7%が目安です。
大きいのは不動産会社に払う仲介手数料で、売却額が400万円を超える場合は「売却額の3%+6万円」に消費税を加えた額が法律上の上限です。これに加え、売買契約書に貼る印紙税や、ローンを抹消する際の登記費用がかかります。
戸建てで見落とせないのが、土地の境界を確定する確定測量の費用です。隣地との境界確認や測量が必要な場合、数十万円規模の出費になることがあり、土地が絡む戸建てならではの項目です。
もう一つの戸建て固有の費用が、建物を壊して売る場合の解体費です。木造なら30坪で120〜180万円前後が目安で、これらの内訳や正確な試算は、査定を受けながら詰めていくのが現実的です。
利益が出ても3,000万円特別控除で税金がゼロになることが多い
売却で利益が出ても、3,000万円の特別控除を使えば税金がかからないことが多くあります。
自分が住んでいた戸建てを売る場合、譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるマイホームの特別控除があります。多くの戸建て売却ではこの枠に利益が収まり、結果として税負担が生じないケースが目立ちます。
出典: No.3302 マイホームを売ったときの特例(国税庁)
相続した実家を売る場合は、別枠の空き家3,000万円特別控除を使える可能性があります。相続人が3人以上だと一人あたり2,000万円に下がるなど要件は細かいため、適用できるかは税理士など専門家への確認が必要です。
戸建てを高く売る準備と内覧|境界と外まわりが評価を決める
戸建ての評価は、境界の確認と外まわりの印象で大きく変わります。
売り出し前に整えておきたい境界まわりの準備と、内覧で見られる外観や水まわりの見せ方を押さえます。
売り出し前に済ませたい境界の確認と必要書類の準備
戸建てでは、隣地との境界を確定させ、必要書類をそろえてから売り出すのが基本です。
土地のどこまでが自分の敷地かを示す境界の情報は、買主が安心して購入を判断する材料になります。境界を確定した測量図や、隣地との越境がある場合の覚書を用意しておくと、引き渡し後のもめごとを防げます。
こうした土地まわりの準備は、敷地を共有で管理するマンションにはない、戸建て特有の手間です。登記簿や測量図、建物の図面などを早めにそろえておくと、売却の話がスムーズに運びます。
戸建ての内覧で見られる外観・庭・水まわりの整え方
戸建ての内覧では、外観や庭、水まわりといった戸建てならではの場所が見られます。
買主が最初に目にするのは、門まわりや外壁、庭の様子です。雑草を刈り、玄関まわりを掃除しておくだけでも、家全体の手入れが行き届いた印象につながります。
室内では、キッチンや浴室、洗面所などの水まわりが念入りに見られます。古さが気になる場所は、水あかや傷みを落とし、明るく清潔に見えるよう手入れしておくと評価につながります。
内覧の前に、各部屋のカーテンを開けて光を入れておきます。生活感の出やすい荷物を片づけておくと、部屋がより広く見えます。戸建ては部屋数が多い分、明るさと風通しの良さが伝わると印象が大きく変わります。
ケース別の戸建て売却|子の独立後の住み替えと相続した実家
戸建ての売却で気をつける論点は、誰がどんな事情で売るかによって変わります。
子の独立後に住み替えるケースと、相続した実家を売るケースを取り上げ、それぞれの進め方と注意点を見ていきます。
子どもの独立後に住み替えで売るケース(残債と夫婦の合意)
子どもの独立を機に住み替える場合は、残っているローンと夫婦の意向の整理が出発点になります。
子どもが巣立つと、夫婦二人には広すぎる戸建てを手放し、暮らしに合った住まいへ移る人が増えます。このとき確かめたいのは、売却額でいまのローンを完済できるかどうかです。足りなければ、新居のローンに残債を上乗せする住み替えローンという方法もあります。
住み替えは夫婦どちらにとっても大きな決断のため、売る時期や次の住まいの希望を早めにすり合わせておくことが欠かせません。老後の暮らしやすさを見据え、駅近のマンションや平屋など、次の住まいの形まで一緒に考えると判断がぶれません。
相続した実家の戸建てを売るケース(名義と空き家特例)
相続した実家を売るときは、名義の変更と使える特例の確認が最初の関門になります。
親から相続した家は、まず相続登記で名義を相続人に移さないと売却できません。2024年4月から相続登記は義務になり、取得を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。
相続人が複数いる場合は、誰が引き継ぐか、売って分けるかを遺産分割で決めておく必要があります。話し合いがまとまらないまま時間が過ぎると、登記も売却も進められなくなります。
名義と分け方が固まったら、空き家の3,000万円特別控除を使えるかを確かめます。建物を取り壊して売るか、そのまま売るかで適用の条件が変わります。解体するかどうかの判断と合わせて、税理士など専門家に早めに相談しておくと安心です。
どちらのケースでも、まず自分の戸建てが今いくらで売れそうかを知ることが、判断の土台になります。複数社の査定で価格のレンジをつかんでおくと、住み替えも相続後の手続きも進めやすくなります。
まとめ:戸建て売却は「土地で考える」ことから始まる
戸建ての売却は、建物より土地に目を向けると見通しが立ちやすくなります。築年数が古くても土地の価値で売れ、流れや費用、税金にも戸建てならではの特徴があります。
売り方の選び方や境界の準備、そして誰がどんな事情で売るかによって、手取りも進め方も変わります。まずは全体像をつかみ、自分のケースに近いところから動くのが近道です。
見込みを具体的に知る出発点は、複数社の査定です。今いくらで売れそうかをつかめば、住み替えも相続後の手続きも判断しやすくなります。