不動産売却で払う税金が自分でわかる!税金の考え方・計算方法をわかりやすく解説

2018.08.24投稿 不動産売却で払う税金が自分でわかる!税金の考え方・計算方法をわかりやすく解説
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不動産鑑定士

竹内英二

「不動産の売却では、税金はいくらくらいかかるの?」
ただでさえ税金はむずかしいイメージがあるのに、不動産売却の場合となるともう…」

と頭を抱えていませんか?

荒っぽい表現をすると、不動産は“購入した金額”よりも高く売れない限り税金は発生しません。
(ただ、多少不正確な表現ですので、後ほど正確に解説します。)

一方で、昔から持っている不動産で購入金額が分からないような不動産は、売却すると税金がかかります。
目安として、売却額に対して2割弱の税金が発生します。

この記事では次のような悩みをお持ちの人に向けて、不動産売却の税金について基礎知識から計算方法まで、誰にでも分かるように順を追って説明していきます。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 不動産を売却すると税金はいくらくらいかかるの?
  • どんなときは不動産を売却しても税金は発生しないの?
  • 税金は具体的にどうやって計算するの?
  • マイホームは売却しても税金は発生しないの?

また、売却で税金が発生する可能性のある不動産や、発生しない可能性が高い不動産についても、包み隠さず解説します。

この記事を最後まで読めば不動産売却の税金について理解でき、売却初心者でも自分であらかたの計算ができるようになります。

では、早速解説していきましょう。

不動産売却で税金が発生する可能性

不動産売却の税金の原則

不動産の売却では、不動産売却税というものは存在しません。

購入では不動産取得税というものがありますが、売却では固有の税金がないというのがポイントです。

不動産の売却で発生する税金は、「所得税および住民税、復興特別所得税」の3つです。
サラリーマンであれば給与所得から控除されている、あの「所得税および住民税、復興特別所得税」と同じです。

ただし、すべての不動産売却で所得税等の税金が発生するわけではありません。

所得税等は、以下の計算式で計算される譲渡所得がプラスの場合に限り、発生します。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
※譲渡価額とは、売却額のこと。
※譲渡費用とは、仲介手数料等、売却に要した費用のこと。

ここでポイントとなるのが「取得費」です。

取得費は「購入額」と言いたいところですが、正確には購入額ではありません。
土地については購入額となりますが、建物については購入額から減価償却費を控除した残額となります。

土地の取得費 = 購入額
建物の取得費 = 購入額 - 減価償却費

冒頭に「不動産は購入した金額よりも高く売れない限り税金は発生しません。」と書きましたが、建物に関しては減価償却後の価格であるため、正確には購入額と異なります。

減価償却とは、建物の取得原価を法定耐用年数の期間に応じて規則的に減額していく会計上の手続きです。
例えば木造戸建住宅なら、減価償却の計算によって18年目くらいには取得費が半額程度になります。

18年目に木造住宅を売却した場合、「土地の購入額+半分くらいになった建物価格」が取得費ということになります。

不動産売却の税金は、譲渡所得がプラスの場合には税金が発生し、譲渡所得がマイナスの場合には税金が発生しないということが原則です。

ここまで、不動産売却の税金の原則について見てきました。

不動産は、売る前に税金が発生しそうな不動産か、発生しない可能性がある不動産かについて、目ぼしを付けることができます。

そこで次に売却で税金が発生する可能性のある不動産について解説します。

売却で税金が発生する可能性のある不動産

以下のような不動産は、売却で税金が発生する可能性があります。

  • 取得費が分からない不動産
  • 取得費より高く売れたマイホーム以外の不動産(土地や投資用マンション等)

相続などで引き継いだ昔から持っているような不動産は、取得費が分からないようなケースがあります。

取得費が分からない場合は、「概算取得費」を取得費として計算に用います。この概算取得費が厄介で、課税対象となる譲渡所得が大きくなってしまうのです。

概算取得費は、譲渡価額の5%として計算されます。
仮に譲渡費用がゼロの場合、譲渡価額の95%が譲渡所得となります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 譲渡価格 - 概算取得費 - 0円
     = 譲渡価格 - (譲渡価格×5%)
     = 譲渡価格 × 95%

また、取得費よりも高く売却できたような土地や投資用マンション等については、譲渡所得が発生しますので、税金も生じます。

ただし、マイホームに関しては、3,000万円特別控除と呼ばれる特例があるため、税金は発生しない確率が高いです。

3,000万円特別控除に関しては、「マイホーム売却の特例「3,000万円の特別控除」で税金がゼロに」をご参照ください。

ここまで売却で税金が発生する可能性のある不動産について見てきました。

次に売却で税金は発生しない可能性の高い不動産についてご紹介します。

売却で税金は発生しない可能性の高い不動産

以下のような不動産は、売却で税金は発生しない可能性が高いです。

  • マイホームの売却
  • バブル時に高く購入した不動産

マイホームには3,000万円特別控除の特例という軽減措置があるため、譲渡所得がプラスでも税金が発生しない確率が高いです。

またバブル時代やリーマンショック前など、土地価格が高い時期に購入した不動産は、取得費が高いため譲渡所得がマイナスとなる可能性があります。

高い時期に購入し、安い時期に売却するような場合は、税金が発生しないことが多いです。

ここまで不動産売却で税金の発生する可能性について見てきました。

では税金が発生する場合は、いくらくらいの税金がかかるのでしょうか。

そこで次に不動産を売却したときの税金の計算方法について解説します。

不動産を売却したときの税金の計算方法

課税対象となる「譲渡所得」の計算方法

不動産売却の税金では、まず譲渡所得を計算することから始めます。

譲渡所得は以下の計算式となります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
※譲渡価格…売却価格のこと
※取得費…土地は購入額、建物は(購入額-減価償却費)のこと
※譲渡費用…仲介手数料など

譲渡所得の計算でポイントとなるのが「取得費」です。

取得費が不明だと概算取得費で計算することになります。

概算取得費 = 譲渡価額 × 5%

概算取得費で計算すると、取得費が分かっている場合よりも譲渡所得が大きくなってしまいます。
譲渡所得を小さくするには、取得費がしっかり明確になっていることが重要です。

不動産を売却する前に、購入当時の売買契約書が残っているかどうかをしっかりと確認しましょう。

計算で使う「税率」

不動産売却で発生する税金は、「所得税・住民税・復興特別所得税」3つあります。

それぞれ税率と課税対象が異なるので、分けて紹介します。

譲渡所得にかかる所得税・住民税

譲渡所得にかかる税率は、所有期間によって異なります。

所有期間は5年以下であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得とされます。
それぞれの税率は以下の通りです。

所有年数と税率の一覧
所有期間 所得税 住民税 合計税率
5年以下(短期譲渡所得) 30% 9% 39%
5年超え(長期譲渡所得) 15% 5% 20%

所得税にかかる復興特別所得税

復興特別所得税については、所有期間に関わらず、税率は2.1%です。

所得税や住民税のように譲渡所得にかかるものではなく、「所得税」に対して課税されます。

所有年数と税率の一覧(復興特別所得税を加味した場合)
所有期間 所得税 住民税 合計税率
5年以下(短期譲渡所得) 30.63% 9% 39.63%
5年超え(長期譲渡所得) 15.315% 5% 20.315%

平成25年から平成49年までに譲渡所得が生じた場合に、所得税と併せて申告・納付することになっています。

※参考:国税庁ホームページ

税金の計算例(土地のみの売却例)

譲渡所得が発生する場合において、取得費が判明している場合と、取得費が分からない場合の税金の計算例を見ていきます。

ケース1:取得費が分かっているケース

次の条件で不動産を売却した場合の税金を計算してみましょう。

売却物件:土地
売却価格:5,000万円
購入価格:3,000万円(土地は減価償却しないため購入価格が取得費になります。)
所有期間:10年(長期譲渡所得)
譲渡費用:156万円(仲介手数料:売却価格×3%+6万円)

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 5,000万円 - 3,000万円 - 156万円
     = 1,844万円


所得税  = 譲渡所得 × 税率
     = 1,844万円 × 15%
     = 276.6万円


復興特別所得税 = 所得税 × 税率
        = 276.6万円 × 2.1%
        = 5.8万円


住民税  = 譲渡所得 × 税率
     = 1,844万円 × 5%
     = 92.2万円


税金合計 = 所得税 + 復興特別所得税 + 住民税
     = 276.6万円 + 5.8万円 + 92.2万円
     = 374.6万円


取得費が分かっている場合に支払う税金は「374.6万円」となりました。

では、取得費が分からない場合はどうなるでしょうか。

ケース2:取得費が不明のケース

次の条件で不動産を売却した場合の税金を計算してみましょう。

売却物件:土地
売却価格:5,000万円
購入価格:不明(取得費が不明の場合は概算取得費となります。)
所有期間:40年(長期譲渡所得)
譲渡費用:156万円(仲介手数料:売却価格×3%+6万円)

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 譲渡価額 - 概算取得費 - 譲渡費用
     = 5,000万円 - 5,000万円×5% - 156万円
     = 4,594万円


所得税  = 譲渡所得 × 税率
     = 4,594万円 × 15%
     = 689.1万円


復興特別所得税 = 所得税 × 税率
        = 689.1万円 × 2.1%
        = 14,47万円


住民税  = 譲渡所得 × 税率
     = 4,594万円 × 5%
     = 229.7万円


税金合計 = 所得税 + 復興特別所得税 + 住民税
     = 689.1万円 + 14,47万円 + 229.7万円
     = 933.27万円


取得費が分かっているときと比べて約2.5倍の税金がかかるという、恐ろしい結果になりました。

取得費が不明の古い土地(長期譲渡所得が前提)を売却する場合、ざっくり計算で譲渡所得の2割弱が税金になるとイメージしておくと良いでしょう。

建物がある場合の「取得費」の求め方(マイホームなど)

前節では土地を売却する場合の税金について、シミュレーションしてみました。
この節では、マイホームのような“建物”がある場合の取得費の求め方を説明します。

マイホームの取得価格は、土地と建物価格に分け、建物に関しては減価償却費を計算する必要があります。

土地の取得費 = 購入額
建物の取得費 = 購入額 - 減価償却費

建物の減価償却費は、以下の計算式で求めます。

減価償却費の求め方
減価償却費 = 建物購入価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

マイホームの償却率については、建物の構造によって以下のように定められています。

マイホームの耐用年数・償却率
建物構造 耐用年数(※) 償却率
木造 33年 0.031
軽量鉄骨 40年 0.025
鉄筋コンクリート造 70年 0.015

耐用年数を超過した場合の建物取得費について

耐用年数を過ぎてしまった建物は、減価償却費の計算は不要です。

耐用年数を過ぎている建物の取得費は、建物購入額の5%が建物取得費となります。

(例)築34年目以降の木造住宅 → 建物取得費は建物購入額の5%になる。

税金の計算例(建物ありの売却例)

ここで、以下のような新築時の購入額が5,000万円であった戸建住宅の取得費を計算します。

構造:木造
土地購入価格:2,000万円
建物購入価格:3,000万円
築年数:25年

取得費は、減価償却後の建物価格を求めてから土地価格と合算して、土地建物価格の取得費を求めます。


減価償却費 = 建物購入価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
      = 3,000万円 × 0.9 × 0.031 × 25年
      = 2,092.5万円


建物取得費 = 建物購入価格 - 減価償却費
      = 3,000万円 - 2,092.5万円
      = 907.5万円


取得費   = 土地購入価格 + 建物取得費
      = 2,000万円 + 907.5万円
      = 2,907.5万円


取得費は、土地は購入額で、建物は減価償却後の価格であるという点がポイントです。

ここまで、不動産を売却したときの税金の計算方法について見てきました。

購入金額が分かるマイホームに関しては、高く売却できて譲渡所得が発生したとしても、税金は発生しない可能性が高いです。

そこで、本記事の最後は、税金が発生しないポイントとなる「マイホーム売却の特例」について解説します。

マイホーム売却の特例「3,000万円の特別控除」で税金がゼロになる可能性

マイホームを売却した場合、3,000万円の特別控除というものが適用されます。

税法上、マイホームは居住用財産と表現されるため、この特例は「居住用財産の3,000万円特別控除」と呼ばれています。

3,000万円を適用すると、課税対象となる譲渡所得は以下のようになります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

ここで、居住用財産とは、以下のいずれかの条件を満たす住宅となります。

自宅のことを指しているため、投資用のワンルームマンションやアパートといった住宅は居住用財産ではありません。

  1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

例えば、「税金の計算例(建物ありの売却例)」の節で例示した戸建住宅が、3,500万円で売却できた場合で譲渡所得を計算してみます。

3,000万円の特別控除が適用される場合の税金計算例

売却物件:築25年の木造戸建て住宅
売却額:3,500万円
購入額:5,000万円(土地価格:2,000万円、建物価格:3,000万円)
取得費:2,907.5万円(計算方法は「税金の計算例(建物ありの売却例)」を参照。)
譲渡費用:111万円(仲介手数料:売却価格×3%+6万円)

まず、3,000万円特別控除を適用せずに譲渡所得を計算してみます。


譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 3,500万円 - 2,907.5万円 - 111万円
     = 481.5万円


上記のままだと、譲渡所得がプラスとなってしまうため、税金が発生してしまいます。

次に3,000万円特別控除を適用すると、以下のようになります。


譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円
     = 3,500万円 - 2,907.5万円 - 111万円 - 3,000万円
     = ▲2,518.5万円
     = 0円(特例によってマイナスとなった場合は“ゼロ円”になります。)


このように3,000万円特別控除を適用すると、譲渡所得はゼロ(マイナスもゼロ)となるケースが多く、税金がかからない場合がほとんどです。

3,000万円を控除しても、譲渡所得がプラスのなるようなケースは、相当に高く売れないとありえないため、非常に稀です。

ざっくりした計算でいうと、マイホーム購入費より3,000万円以上高く売れないと、税金が発生しないということです。

なお、3,000万円特別控除を適用するには、確定申告が必要です。

通常、確定申告は税金を払うために行うものです。
しかしこの場合は、特例を適用して税金を払わないようにするために確定申告を行います。

売却後は確定申告を忘れないようにてください。

まとめ

不動産は「譲渡所得」が発生した場合に税金が発生します。
譲渡所得が分かれば、売却によってどの程度の税金が発生するか知ることができます。

譲渡所得を計算するうえで押さえておくべきポイントをおさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 基本の計算式は[ 譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) - 取得費 - 譲渡費用 ]
  • 取得費とは、土地なら「土地の購入額」、建物なら「建物の購入額-減価償却費」のこと
  • 取得費が不明な場合は、「概算取得費(譲渡価額の5%)」を用いる。
  • マイホームの売却は「3,000万円の特別控除」が適用される
  • マイホームは高く売却できたとしても、3,000万円特別控除を適用することで税金が発生しないケースがほとんど

かんたんに言えば…

昔から持っている不動産など、購入金額が分からない不動産を売却した場合には、税金が発生する可能性があります。

それに対し、バブル時代に購入した不動産やマイホームの売却では、税金が発生しない可能性が高いです。

税金の計算は、譲渡所得をしっかりと計算することがポイントです。
譲渡所得がプラスなら税金が発生し、マイナスなら税金は発生しないと理解しておきましょう。

執筆者の竹内英二さんの写真

不動産鑑定士

竹内英二

保有資格:不動産鑑定士、中小企業診断士、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン

大阪大学大学院卒。不動産鑑定士合格後は、日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定やオフィスビル・賃貸マンション等の開発業務に11年間従事。2015年に株式会社グロープロフィット(不動産鑑定業・宅地建物取引業)を設立し代表取締役を務める。趣味は水泳。好きな漫画は「進撃の巨人」。