不動産売却のベストタイミングっていつなの?5つの時期を徹底解説

2018.08.24投稿 不動産売却のベストタイミングっていつなの?5つの時期を徹底解説
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不動産鑑定士

竹内英二

家や土地を売ろうと思ったとき、よっぽどの急ぎでない限り「どうにかして高く売りたい!」と思いますよね。

高く売る方法を考えるなかで「売る時期も関係あるのでは?」という推測をしたあなた、正解です。

何事にも、それをするのに適した時期があります。
不動産の売却も同じで、良いタイミングを選ぶと楽に高く売ることができます。

でも、良いタイミングがいつなのか、分からないですよね。
インターネット上に溢れている情報も正しいかどうか判断できません。

そこで、現役の不動産鑑定士である筆者が、これまでの経験や知識から正しい情報をお伝えしたいと思います。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 不動産売却に良い時期ってどんなとき?
  • 不動産の売却は3月が良いの?
  • 他にはどんな時期が売りどきなの?
  • インスペクションや測量、税金はどれくらいの費用がかかるの?

この記事では上記のような疑問をお持ちの人に向けて、不動産売却の適切な時期について、誰にでもわかるように順を追って説明していきます。

一般的な良い時期はもちろん、オリンピック前のタイミングは売りどきなのかについても、包み隠さず解説します。

この記事を最後まで読めば、不動産売却の適切な時期はいつなのか分かるようになり、不動産を高く売れるチャンスを掴むことができます。

それでは不動産売却のベストタイミングについて解説していきましょう。

タイミング1.「2~3月」の引越し時期

年間を通じて、マンションや戸建のような住宅については、売買や賃貸も2~3月が最も活発に行われます。

高く売るには2月に売買契約をおこない、3月に引渡をおこなうようなタイミングがベストです。

理由としては、年度初めの4月から新生活を送る人が多く、3月には新しい新居へ引っ越す人が多いためです。

また、新築市場が活発なとき(※)こそ中古物件はよく売れます。
中古住宅は、高すぎる新築を諦めて購入する人も多いのです。

※新築市場が活発になるのは「2~3月」
 分譲マンションや賃貸マンションの竣工時期は、売買・賃貸の需要が高い2~3月を狙うのがセオリー。
 マンション以外の新築物件も多く供給される。

売却活動は12月頭からスタート

ただし、不動産は売り始めてすぐに売れるものではないので注意が必要です。

不動産の売却は、一般的に3ヶ月程度の販売期間を設けます。
さらに、売買契約から引渡しまでの期間を1ヶ月程度設けることが通常です。

2月末くらいに売買契約を行えば、3月末に引き渡すことができるため、タイミングとしてはちょうど良いです。

3ヶ月の売却期間を考慮すると、売却活動のスタートは12月頭くらいから開始するのがベストです。

少し長く感じるかもしれませんが、不動産の売却は余裕をもって行うということが重要です。

不動産の売買では昔から「売り急ぎ」、「買い進み」という現象があります。

売り急ぎとは、焦って安く売ってしまうことを指します。
買い進みは、焦って高く買ってしまうことを指します。

いずれも、焦ってしまうと売却も購入も損をしてしまうということです。
無理やり3月に売ろうとして、3月の1ヶ月間で売買しようとするのは、売り急ぎに繋がるため得策ではありません。

時間的な余裕はしっかりと持ち、焦らずに売るようにして下さい。

境界があいまいな場合なら9月にはスタート

なお、土地の境界が確定していない物件(戸建や土地など)をお持ちの人は、売却期間にさらにゆとりを持たせる必要があります。

不動産の売主には、土地の境界の明示義務があります。
境界を明示できない場合は、事前に測量をおこない、境界を確定する必要があります。

この際、官民境界と呼ばれる、いわゆる道路との境界が確定していない物件は要注意です。
官民境界は、下手をすると確定までに半年以上の時間を要してしまうことがあります。

境界が未確定の物件のお持ちの人は、測量は少なくとも半年前の9月くらいには着手しましょう。

ここまで3月の引越し時期について説明してきました。

不動産の売却時期は、季節要因だけでなく、不動産市況も見ながらタイミングを計ることが重要です。
そこで、次に不動産市況にタイミングの一つである新築マンションの値上がり時期について解説します。

タイミング2.新築マンションの値上がり時期

新築マンションの価格はここ数年上昇傾向にあります。

国土交通省も公表データとして採用している株式会社不動産経済研究所の調査によると、2018年上半期(1~6月)における首都圏の新築マンション平均価格は5,962万円となっています。

上期としては、2013年以降6年連続で上昇中です。

このように新築マンションの価格が上昇している時期は、不動産を高く売却できます。

新築マンションの価格が高いと、中古マンションも中古戸建も、両方とも需要が高まります。

中古マンション・中古戸建が高く売れる理由

まず、マンションに住みたいと思っている人は「新築マンションが高すぎる」と感じると、中古マンションに流れていきます。

新築マンション価格が上がれば上がるほど“新築に手が届かない人”が増え、結果的に中古マンションを購入する人が増えるのです。

また、新築マンションが高いと、中古戸建にも需要者が流れます。

マンションは、購入後に管理費と修繕積立金が発生します。
新築マンションの重い住宅ローンに、管理費と修繕積立金も加わると、経済的な負担が大きくなります。

この負担を軽くするために、管理費と修繕積立金の発生しない戸建住宅へ買い替える人が結構いるのです。

このように、新築マンション価格が高いことで「新築マンションの諦め組」と「戸建への買い替え組」の人たちが発生し、中古住宅市場が活性化します。

マンションを持っている人と戸建を持っている人の両方に、売却のチャンスが訪れるのです。

ここ数年は、新築マンション価格の高騰が続いており、売却にはとても適した時期が続いています。
新築マンション価格の高騰は、ニュースで取り上げられることが多く、情報もキャッチしやすいです。

「新築マンション価格が過去最高を更新!」というニュースが出ている時期は、絶好の売りどきだと思っておいて良いでしょう。

ここまで、新築マンションの値上がり時期について見てきました。

3つ目のタイミングとして、「土地の値上がり時期」があります。
次章では、土地の値上がり時期について解説します。

タイミング3.土地の値上がり時期

土地価格が上昇している時期も、不動産を売却するには良い時期です。

土地も株と同じように、景気の状況によって価格が変動します。

株は、価格が上昇しているときに売れば儲かります。
不動産もまったく同じで、土地価格が上昇しているときなら高く売ることができます。

ただし、戸建住宅やマンションは、価格の内訳として「建物価格」があります。
建物価格は、築年数に応じて年々下落していくのが通常です。

そのため、「建物価格」が下落する以上に「土地価格」が上がらない限り、購入したときよりも高く売れるということはありません。

近年は土地価格が上昇しているため、「思いのほか高く売れた」というケースが増えています。
購入価格よりも高くなることはないものの、土地価格の上昇によって購入時よりほとんど価格が下がらず売却できたというケースが増えています。

このようなケースでは、売却によって住宅ローン残債を余裕で完済できます。
お釣りが十分できるため、次の物件の購入のための頭金にもすることができます。

売却により大きな頭金を作れるチャンスですので、土地価格上昇時は売りどきです。

ここまで土地の値上がり時期について見てきました。

売りどきを考える際、住宅ローン環境も重要です。
そこで次に、住宅ローン環境が良い時期について解説します。

タイミング4.住宅ローン環境が良い時期

住宅ローン関連の環境が良い時期は、購入者の住宅取得意欲が高まるため、不動産を売却するには良い時期になります。

住宅ローンの環境が良い時期とは、具体的に「低金利」と「税制優遇」の2点があります。

住宅ローンが低金利なとき

2018年8月現在においては、一時期よりも住宅ローンの金利は徐々に上がっている状況です。
とはいえ、バブル時代の金利と比べると、まだまだ低金利と呼べる状態にあります。

金利が低ければ、住宅ローンの返済総額を抑えることができるため、購入時期としては適切です。

購入のチャンスとなれば不動産の需要が高まり、売却時期としても好機となります。

少し矛盾しているように見えますが、住宅ローンの低金利によって、ここ数年は買いどきもあり、売りどきでもあるのです。

住宅ローン控除を受けられるとき(税制優遇)

また、国も住宅取得を促すために、住宅ローン利用者には税制優遇の措置を取っています。
その税制優遇とは、いわゆる「住宅ローン控除」です。

住宅ローン控除を適用できる物件は売却しやすくなります。

住宅ローン控除とは、以下制限はもと、所定の額が所得税から控除される制度です。

この住宅ローン控除は、いつまで続くのが分かりません。
2018年8月現在においては、適用要件は2021年(平成33年)12月31日までに入居することが条件となっています。

今のところ、期限がギリギリに迫ると延長されている制度ですが、一応「時限立法」であるということに注意が必要です。

築年数が古いなら「住宅ローン控除を適用できる物件」に変えてから売る!

住宅ローン控除は、中古住宅の取得でも使えます。

もし売りたい家が住宅ローン控除の適用対象外となっている場合には、「住宅ローン控除が適用できる物件」に変えてから売るのも1つのポイントです。

中古住宅で住宅ローン控除が使える物件の要件は、以下のとおりです。

住宅ローン控除が使える中古住宅

  1. 中古住宅を取得し、平成21年1月1日から平成33年12月31日までに、その住宅を自己の居住の用に供すること。
  2. 取得の日から6ヶ月以内に、自己の居住の用に供すること。
  3. 床面積が50㎡以上であること。
  4. 居住用と店舗等の居住用以外の部分があるときは、床面積の2分の1以上が居住用であること。
  5. 次のイ・ロのいずれかに該当すること。
    イ.建築されてから20年以内(耐火建築物の場合は25年)の家屋であること
    ロ.築後年数にかかわらず新耐震基準に適合することが証明されたものであること又は、既存住宅瑕疵担保保険に加入しているもの(加入後2年以内のものに限る。)

上記の要件のうち、「5」の要件が重要です。

「5」の要件に、「建築されてから20年以内(耐火建築物の場合は25年)の家屋であること」とあります。
耐火建築物とは、マンションのことです。

このままの意味だと、

を売却した場合、購入した人は住宅ローン控除を使うことができないことになります。

そこで、救済措置として「5.ロ」の要件があります。

「5.ロ」は、既存住宅瑕疵担保保険に加入しているもの、という要件です。

既存住宅瑕疵担保保険とは、購入者が住宅を購入後、瑕疵(カシ)が発見された場合にはその補修費用の一部を保険金でカバーすることができる保険です。

瑕疵とは通常有すべき品質を欠くものを指し、例えば雨漏りやシロアリによる床下の腐食等が該当します。

既存住宅瑕疵担保保険に加入するには、インスペクションと呼ばれる専門家が行う建物状況調査に合格することが必要です。

築21年以上の木造住宅や、築26年以上のマンションであっても、売却前にインスペクションをおこない、既存住宅瑕疵担保保険に加入しておけば、住宅ローン控除を使える物件に変えることができます。

築年数の古い物件を売却するのであれば、既存住宅瑕疵担保保険の加入も検討するのも良いでしょう。

以上、ここまで住宅ローン環境が良い時期について見てきました。

売却に適した時期は、日本経済全体の変化だけではなく、局所的に発生する場合もあります。
それは周辺が再開発されて街がガラッと変わった時期です。

そこで次に、周辺が再開発された時期について紹介します。

タイミング5.周辺が再開発された時期

日本経済全体の変化とは関係なく、「このエリアだけ売りどき」という場合があります。
それは、街が再開発された後です。

再開発とは、今まで工場跡地だったところに大きなマンションや商業施設が建つことで、街がガラッと変わる街づくりのことを指します。

再開発は成功すると、その周辺の土地価格が一気に上昇します。
再開発前にそのエリアに不動産を持っていた人は、再開発後に売却すると高値で売却することが可能です。

川崎市の武蔵小杉の再開発などは、街が大きく変わり、土地価格が急上昇した良い例になります。

武蔵小杉のように大成功した例は稀ですが、周辺環境が良くなると局所的にそのエリアの不動産価格が上昇します。

など、街に大きな変化が生じると街自体の人気が上がり、そのエリアだけに不動産の売りどきが訪れます。

最近は、再開発情報もインターネットでわかりやすく公表されています。

再開発情報サイトの一例
ネットで住みかえノムコム未来予想図
都市レポ

自分が住んでいる街に再開発計画がないか、確認してみましょう。

また、買い替えをするなら、再開発計画があるエリアの物件を今のうち購入しておくのも1つです。
再開発前であれば、物件は安く購入でき、再開発後は上がります。

以上、ここまで周辺が再開発された時期について見てきました。

では、2018年の今は売りどきなのでしょうか。
最後にオリンピック前の今は売りどきなのかどうかについて解説します。

2020年東京オリンピック前は売りどき!!

2018年8月現在においては、今は売りどきです。

前章まで紹介してきた新築マンション価格や土地価格も上昇しており、住宅ローン環境もおおむね良好です。

好景気では、不動産などの物価が上昇します。
2020年の東京オリンピックまで好景気は続くとの見方が強く、好景気である今は売るには良い条件が整っていると言えます。

ただし、買い替えをする人であれば、今購入すると高いです。
売却は上手くいったとしても、購入で苦戦する可能性はあります。

そんな時は、一度、思い切って賃貸住宅に引っ越してしまうというのも1つの手です。

今の時期に高く売り、2020年東京オリンピックまでは賃貸住宅に引っ越し、不動産価格がガクンと下がったタイミングで購入するのが良いでしょう。

かつて、「バブル時代に売っていたら我が家は1億円だったのに・・・」という嘆きを何度も聞いたことがあります。

売却の良い時期というのは、そう何度も訪れるものではありません。
今回を逃せば、また10年以上、オアズケの可能性が出てきます。

今は絶好のチャンスですので、売りどきを逃さないようにして下さい。

まとめ

不動産の売却の適切な時期を5つ紹介しました。

記事のおさらい

  • 2~3月の引っ越しシーズン
  • 新築マンションの価格が高騰しているとき
  • 土地価格が上昇しているとき
  • 住宅ローンが低金利なとき
  • 再開発されたとき

住宅ローン環境が良い時期も売却には適していますので、これからの金利や減税政策等も注視しておくと良いでしょう。

また、2018年8月現在は、良い売却時期です。
新築マンションの高騰や土地価格の上昇、良い住宅ローンの環境等々の好条件がすべて揃っています。

不動産を売りたいと思っている人は、ぜひこのタイミングでの売却を検討しましょう。

執筆者の竹内英二さんの写真

不動産鑑定士

竹内英二

保有資格:不動産鑑定士、中小企業診断士、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、相続対策専門士、不動産キャリアパーソン

大阪大学大学院卒。不動産鑑定士合格後は、日本土地建物株式会社にて、不動産鑑定やオフィスビル・賃貸マンション等の開発業務に11年間従事。2015年に株式会社グロープロフィット(不動産鑑定業・宅地建物取引業)を設立し代表取締役を務める。趣味は水泳。好きな漫画は「進撃の巨人」。