不動産を売却する際の媒介契約は3種類!それぞれの特徴を徹底解説!

2018.09.19投稿 不動産を売却する際の媒介契約は3種類!それぞれの特徴を徹底解説!
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不動産ライター兼不動産経営者

中村裕介

不動産を売却するときは不動産業者に仲介を依頼します。その際に結ぶ契約のことを「媒介契約(ばいかいけいやく)」といいます。

媒介契約は3種類ありますが、どれも普段の生活で見聞きするものではありません。不動産の売却が初めてなら、おそらく、どの種類の契約を結べばいいのか分からないのではないでしょうか。

しかし、媒介契約は、不動産の売却活動に影響する要素の1つです。契約の種類によって、不動産会社のやる気・売却までのスピード感・売却価格を左右する可能性があります。

この記事ではこんな悩みを解決します!

  • 「不動産を売るときに必要な媒介契約ってなに?」
  • 「媒介契約ってどんな種類があるの?どんな違いがある?」
  • 「どの媒介契約を選べばいいの?」

この記事では、上記のような疑問をお持ちの人に向けて、不動産を売却する際に必要となる媒介契約の概要から、媒介契約の種類、おすすめの媒介契約についてお伝えします。

この記事を読めば、不動産を売るときに結ぶ3つの媒介契約の特徴とメリット・デメリットを理解した上で、どの媒介契約を選べば良いのかがわかります。

さらに不動産業者を変えたいときにどうすればいいのか、買主がなかなか見つからない場合にどうすればいいのかなど、実際に不動産を売り出した後の対策についても解説します。

媒介契約とは

媒介契約とは、不動産の売買や賃貸借の取引をおこなうにあたって、宅地建物取引業者(不動産業者)にその取引が成立するように仲介してもらう際に結ぶ契約です。

不動産取引が公正・適正に行われるように定められた法律(宅地建物取引業法)のもと、媒介契約では、

などが定められています。

不動産の売却に媒介契約が必要な理由

不動産を売却する際、通常は不動産業者の仲介によって買主を探します。不動産会社に仲介を依頼する際は、「媒介契約」が必要なのです。

逆に言えば、不動産会社に仲介を依頼しないなら、媒介契約は必要ありません。

しかし、結論から言えば、自分でやるのではなく不動産会社に依頼したほうが無難です。

不動産の販売活動は、

など、膨大な作業量が求められるからです。

これらの作業を一般の人間が本業をこなしながらやることは現実的ではありません。

筆者もこれまで数回の不動産取引の経験があり宅地建物取引士の資格もあります。しかし将来不動産の売却をする際に自分でやるかといえば、間違いなくやりません。

元不動産会社の社員などの経歴があればともかく、不動産取引の知識・経験がない人は、やはり不動産業者と媒介契約を結ぶのが無難です。

なお、不動産会社の仲介によって売買契約が成立した場合、不動産会社に仲介手数料を支払います。

仲介手数料は、売買価格が400万円を超える場合、「売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税」として計算されます。数十万以上にもおよぶ高額な費用です。

不動産会社を使わずに不動産を売却することは法的には可能であり、この場合は仲介手数料を支払わずに済みます。

しかし、仲介手数料を考慮しても、上述でお話したとおり不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。

媒介契約は全部で3種類!(比較表あり)

媒介契約には、次の3種類があります。

不動産の売主は、自分でどの契約にするか選ぶ必要があります。

しかし、不動産の売買が初めての人にとっては、各媒介契約の特徴や違いが分からないと思います。

かんたんに分かるように、それぞれの特徴を比較表として下記にまとめました。どの契約を選ぶかの参考にしてください。

3つの媒介契約の比較表
媒介契約の種類 専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
複数の会社との契約 × ×
自分で見つけた買主との直接取引 ×
レインズへの登録 5日以内 7日以内 任意(登録義務なし)
業務報告義務 1週間に1回以上 2週間に1回以上 任意(報告義務なし)
契約有効期間 最大3ヶ月 最大3ヶ月 規定なし(3ヶ月が目安)

ここからは、3種類の媒介契約のそれぞれの特徴とメリット・デメリットについて、詳細に説明していきます。

専属専任媒介契約の特徴とメリット・デメリット

専属専任媒介契約とは、媒介契約を結んだ1社の不動産会社以外の不動産会社とは媒介契約を結べない契約です。

また、たとえ自分で見つけてきた相手(買主)でも、専属専任媒介契約した不動産業者の仲介なしに契約することが禁止されています。

このように専属専任媒介契約の特徴は、厳しい制限がかかる契約であるという点です。

そのほか不動産会社側には、

といったことが義務付けられています。

【用語解説】REINS(レインズ)

REINS(レインズ)とは、国土交通大臣の指定を受けた4つの公益法人(指定流通機構)が運営している、不動産情報の登録と提供を行っているコンピュータ・ネットワークシステムのことです。

依頼を受けた不動産業者が売主の不動産情報をレインズに登録することによって、全国の不動産業者間で情報が共有され、買い手が見つかる確率が上がります。

専属専任媒介契約のメリット

専属専任媒介契約のメリットは以下の2点です。

  • 不動産業者が力を入れて販売活動をする
  • 販売状況を把握しやすい

それぞれについて、以下で詳しく説明します。

不動産業者が力を入れて販売活動をする

1社専属での契約ということで、契約期間中は他の不動産業者に先を越されたことでそれまでの販売活動が無駄になる可能性がないため、積極的な販売活動を期待できます。

販売状況を把握しやすい

1週間に1回以上の報告義務があるため、不動産業者の活動状況がよくわかります。

専属専任媒介契約のデメリット

専属専任媒介契約のデメリットは以下の4点です。

  • 最大3ヶ月間は他の業者と契約できない
  • 契約した業者の質が悪いとなかなか決まらない
  • 不動産業者によっては無理な値引きにつながる可能性がある
  • 自己発見取引が認められない

それぞれについて、以下で詳しく説明します。

最大3ヶ月間は他の業者と契約できない

専属専任媒介契約の契約期間は最大3ヶ月間であり、契約期間中は他の不動産業者と契約できません。

契約解除の場合、違約金が発生します。

契約した業者の質が悪いとなかなか決まらない

専属専任媒介契約を結んだ1社に販売活動を一任するため、その業者の販売力が低いとなかなか買主が見つからない状態になる可能性があります。

不動産業者によっては無理な値引きにつながる可能性がある

不動産の取引は、売主と買主の双方が仲介手数料を支払います。

専属専任媒介契約を結んでいる不動産業者は、売主からの仲介手数料が確定している状態です。

ここでさらに、その不動産会社が自力で買主を見つけることができた場合、1回の取引で売主と買主の双方から仲介手数料を受け取る、いわゆる両手仲介となります。

両手仲介を狙った不動産業者の積極的な活動を期待できますが、デメリットがあります。

両手仲介で通常の倍の仲介手数料をもらえる以上、販売価格を下げてでも成立させようという思惑が働いて、売主の利益を損なうような無理な値引きを要求される可能性があります。

自己発見取引が認められない

媒介契約を結んでいる業者を介さずに自分で取引相手を見つけて取引を進めることを自己発見取引といいます。

専属専任媒介契約では、自己発見取引は認められていません。

専属専任媒介契約の契約有効期間中に売主が自己発見取引によって取引を成立させてしまった場合、専属専任媒介契約を結んだ不動産業者は、契約者に対して約定報酬(仲介手数料)を請求することができます。

専任媒介契約の特徴とメリット・デメリット

専任媒介契約は、専属専任媒介契約と同様に不動産業者1社を相手に結ぶ媒介契約です。ほかの不動産業者に仲介を依頼することはできません。

専属専任媒介契約との大きな違いは、自己発見取引が認められていて、自分で見つけてきた相手と直接取引することができる点です。

そのほか不動産会社側には、

といったことが義務付けられています。

専任媒介契約のメリット・デメリットは専属専任媒介契約と同じなので、ポイントだけ再度紹介しておきます。

  • 不動産業者が力を入れて販売活動をする
  • 販売状況を把握しやすい
  • 最大3ヶ月間は他の業者と契約できない
  • 契約した業者の質が悪いとなかなか決まらない
  • 不動産業者によっては無理な値引きにつながる可能性がある
  • 自己発見取引が認められない

一般媒介契約の特徴とメリット・デメリット

一般媒介契約は、専属専任媒介契約・専任媒介契約と異なり、複数の不動産業者と媒介契約を結ぶことができる契約です。

また、自分で探し出した不動産業者とも直接取引が可能であり、3つの媒介契約の中で最も制約の少ない契約です。

契約期間に規定はありませんが一般的には3ヶ月が目安となっています。レインズへの登録義務、売主への報告義務はありません。

一般媒介契約には、「明示型」と「非明示型」の2種類があります。

一般媒介契約の明示型・非明示型
明示型 契約する不動産業者に、他のどの不動産会社と契約しているかを伝える契約。明示型の場合、契約した業者が増えるたびに今まで契約した業者に連絡する必要がある。
非明示型 契約している不動産業者を知らせる必要のない契約。

明示型と非明示型であれば、「明示型」をおすすめします。

非明示型の場合、どの会社がライバルなのか、合計で何社が動いているのかわからない状態で販売活動をすることになります。その結果、不動産会社の販売意欲が著しく下がるためです。

一般媒介契約のメリット

一般媒介契約のメリットは以下の3点です。

  • 複数の不動産業者の競争原理を利用できる
  • 買主が見つかる可能性が高くなる
  • すぐに解約できる

それぞれについて、以下で詳しく説明します。

複数の不動産業者の競争原理を利用できる

一般媒介契約の1番のメリットは、複数の不動産業者に依頼することで、不動産業者を競争させることができることです。

買主が見つかる可能性が高くなる

販売活動をする不動産業者の数が多いので、それだけ買主が見つかる可能性が高くなります。

すぐに解約できる

一般媒介契約は、電話一本で解約することができます。

解約に関する特約がない限り、ペナルティなく解約できます。

一般媒介契約のデメリット

一般媒介契約のデメリットは以下の2点です。

  • 不動産業者が本腰を入れない可能性がある
  • 不動産業者の活動が見えにくい

それぞれについて、以下で詳しく説明します。

不動産業者が本腰を入れない可能性がある

一般媒介契約は複数の不動産業者が販売活動を行うため、他の業者が買主を見つけた場合、それまでの販売活動が無駄になる可能性があります。

そのため、専属専任媒介契約・専任媒介契約に比べて販売活動に対する積極性に欠けるおそれがあります。

不動産業者の活動が見えにくい

一般媒介契約の場合、契約者への報告義務がないため不動産業者の活動が見えにくいというデメリットがあります。

買主が見つかるまで全く連絡しない業者も存在します。

以上、3種類の媒介契約について説明しました。整理のために、最初にお見せした比較表を再度掲載します。

3つの媒介契約の比較表
媒介契約の種類 専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
複数の会社との契約 × ×
自分で見つけた買主との直接取引 ×
レインズへの登録 5日以内 7日以内 任意(登録義務なし)
業務報告義務 1週間に1回以上 2週間に1回以上 任意(報告義務なし)
契約有効期間 最大3ヶ月 最大3ヶ月 規定なし(3ヶ月が目安)

筆者のおすすめは「専任媒介契約」

専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約のどれが良いかはケースによって異なりますが、筆者のおすすめは「専任媒介契約」です。

専属専任媒介契約は自分で買主を見つけた場合に取引できないなどの縛りが強いため、専任媒介契約を選びましょう。

上述のとおり、専任媒介契約は一般媒介契約に比べて不動産業者のやる気が違います。

この際、業者を選ぶ目安としては、賃貸・管理が専門の不動産業者ではなく、不動産の売却に実績のある不動産業者を選びましょう。

【アドバイス】不動産会社の切り替えで効果的に!

3ヶ月の契約期間で決まらなかった場合、別の不動産業者に切り替えて新たに専任媒介契約を結ぶ方法がおすすめです。

また、最初に地域密着型の不動産業者を選んでいた場合は、大手に切り替える(またはその逆)といった方法も有効です。

業者の切り替えは、先に選んだ業者になにが足りなかったのか、という視点で行いましょう。

好条件の物件は一般媒介契約が効果的

一般媒介契約も利点がないわけでありません。

築年数が浅くて駅に近いなど条件が良い物件の場合は、複数の不動産業者と一般媒介契約を結ぶことで競争原理が有効に働き、より高い金額で販売できる可能性があります。

一般媒介契約を結ぶ場合は、複数の業者に一度に査定を依頼できる一括査定サイトの利用をおすすめします。

不動産の状態・条件に合わせて、自分にとって最適な媒介契約を選びましょう。

契約した業者が気に入らなかったら契約更新しなくてもOK

すべての不動産業者が期待どおりの働きをしてくれるわけではありません。

また、担当者との相性もあります。

媒介契約は通常3ヶ月で契約期間が切れます。一般媒介契約の場合は特約により契約の自動更新も可能ですが、専任媒介契約、専属専任媒介契約は改めて契約を結ばなくてはなりません。

契約した業者の活動が満足のいくものでなかった場合は契約更新せず、先ほどお伝えしたアドバイスのとおり“タイプの違う不動産業者”に切り替えましょう。(以下に再掲します)

【アドバイス】不動産会社の切り替えで効果的に!

3ヶ月の契約期間で決まらなかった場合、別の不動産業者に切り替えて新たに専任媒介契約を結ぶ方法がおすすめです。

また、最初に地域密着型の不動産業者を選んでいた場合は、大手に切り替える(またはその逆)といった方法も有効です。

業者の切り替えは、先に選んだ業者になにが足りなかったのか、という視点で行いましょう。

媒介契約を途中解約したい場合の注意点

媒介契約を途中契約する際の注意点について下記にまとめました。

一般媒介契約の途中解約は問題なくできるが特約の内容を要確認

一般媒介契約の場合、特約がない限りは途中解約をしてもペナルティは発生しません。

しかし契約内容に解約に関する違約金などの特約がある場合は、契約期間の終了を待ってから解約しましょう。

専任媒介契約・専属専任媒介契約の途中解約は注意が必要

専任媒介契約、専属専任媒介契約の場合は、違約金としてそれまでにかかった広告費や交通費などの実費を請求される可能性があります。

違約金の上限は仲介手数料に相当する額です。

ここまで請求されるケースは滅多にありませんが、不動産業者が契約に基づく販売活動をしていないなどの正当な解約理由がない限りは、途中解約は避けましょう。

まとめ

それでは3種類の媒介契約について、それぞれの特徴とメリット・デメリットについておさらいしましょう。

記事のおさらい

  • 専属専任媒介契約・専任媒介契約は不動産業者1社のみと媒介契約を結ぶ契約方式
  • 一般媒介契約は複数の不動産業者と契約を結べる契約方式
  • 専属専任媒介契約では自分で見つけた買主と取引ができない
  • 専任媒介契約・一般媒介契約では自分で見つけた買主と取引ができる
  • 専属専任媒介契約・専任媒介契約の契約期間は最大3ヶ月、一般媒介契約は制限なし
  • 専属専任媒介契約・専任媒介契約は横取りされないので業者がやる気を出す
  • 一般媒介契約は他の業者に横取りされる可能性があり、業者のやる気が削がれる
  • おすすめは専任媒介契約。条件の良い物件なら一般媒介も良い

初めて不動産売却において媒介契約を結ぶ際、色々な不安があるかと思います。

しかし、媒介契約は、一度結んでも契約期間が終われば別の業者と契約することが可能です。

迷ったときは専任媒介契約を結んで様子を見てはいかがでしょうか。

今回ご紹介した内容が、信頼できる不動産業者と適切な媒介契約を結ぶ助けになれば幸いです。

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不動産ライター兼不動産経営者

中村裕介

保有資格:宅地建物取引士、保育士

1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。 商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。 趣味はフットサル、旅行、読書。美容と健康のために毎日リンゴ人参ジュース飲んでます。