【マンション売却の成功ポイント】押さえておきたいコツから税金対策まで詳細解説!

2018.10.29投稿 【マンション売却の成功ポイント】押さえるべきコツから税金対策まで完全解説!
執筆者の中村裕介さんの写真

不動産ライター兼不動産経営者

中村裕介

マンションの売却は人生にそう何度もあるものではありません。

そのためマンションの売却を検討している多くの人は、「本当にこのやり方でいいのか」という不安を抱えたまま手探りでおこなっているのではないでしょうか。

不動産経営者としての経験と立場から、マンション売却を検討している人の疑問や質問を解決する手助けができればと思い、記事を執筆しました。

この記事はこんな悩みをお持ちの方にオススメ!

  • マンション売却は何をどうはじめれば良いか分からなくて不安
  • マンション売却はどこにお願いすれば良いのだろう
  • マンション売却で損をしたくないけど何に気を付けるべきか分からない

この記事では、これからマンション売却を行う人のために、基本知識から売却後の税金対策までを分かりやすく解説していきます。

マンションを売却する前に考えておきたい3つのポイント

マンションを売却する際は、いきなり動き出すべきではありません。きちんとした準備を行うことで、その後の売却活動がスムーズになります。

前準備として、あらかじめ下記3つのポイントを押さえてください。

売却前に!押さえておきたい3つのポイント

  • マンションを売却する理由を明確にする
  • マンションを買い替えるなら新しい物件探しも並行して行う
  • マンション売却の方式を決める

では、売却活動を始める前に考えておきたいこれらのポイントについて詳しく解説していきます。

①マンションを売却する理由を明確にする

マンション売却を行う場合、マンションを売却する理由を明確にする必要があります。なぜなら売主の売却理由は、物件の購入希望者が最も知りたい情報のひとつであるためです。

多くの場合は、子供が生まれて手狭になった、転勤などのライフスタイルの変化が売却理由になります。

ただ、経済上の理由や離婚など、あまり人には話したくないケースもあるでしょう。

その場合は、不動産会社には理由をしっかりと話し、買主に伝える際には個人的な内容には踏み込まない範囲での説明を依頼しましょう。

また、過去に自殺や殺人などの事故があった場合や雨漏り、物件の欠陥など、物件の瑕疵(物件の不具合)が売却理由である場合は、しっかりと買主に伝える義務があります。

あとになって瑕疵(かし)が発覚した場合、契約解除や損害賠償請求を受ける可能性があります。

②マンションを買い替えるなら新しい物件探しも並行して行う

マンションの買い替えには、現在住んでいる物件の売却活動と、新しい家を探す購入活動を並行して行う必要があります。

なぜなら、物件を売却してから物件探しを始める場合、引き渡しまでの期間に良い物件が見つからない可能性があるためです。

良い物件に出会えなければ、仮の住まいに引っ越したり家賃を払ったりと仮住まいの費用負担が必要になってしまいます。

マンションの売却を進めつつ、新しい家探しも並行して進めておきましょう。

③マンション売却の方式を決める(一般市場での売却か会社の買取か)

売却と買取の特徴

マンションの売却方法は、一般市場に売り出すだけではありません。不動産会社による買取という方法もあります。

買取の場合、一般的に市場で売却した場合に比べて売却価格が下がる傾向があります。買取の場合の売却価格は、市場売却価格の7~8割程度が相場となります。

ただ、買取には、売却までに必要となる日数が短いというメリットがあります。

市場に売り出す場合、3ヶ月から半年ほどかかるケースが多いですが、買取の場合は、最短では数日、長くても1~2週間程度と売却にかかる時間が短くて済みます。

売却価格よりも早く物件を処分したい人には「買取」が向いています。

編集部オススメの記事

マンションを早く売りたい人は、こちらの記事がオススメ!買取を決める前にぜひチェックしてください。
『マンション売却を早く成功させたい!可能な限り損せず早く売る5つのポイント』

マンション売却を決めてから売買契約成立までの流れ

ここからは、マンション売却を決めてから売買契約成立までの流れについて、下記7つのステップで解説します。

マンション売却の流れ(全体像)

  1. マンション売却価格の相場を調査する
  2. 不動産会社に査定を依頼する
  3. 不動産会社と媒介契約を結んでマンションの販売活動を依頼する
  4. 物件購入を検討している人の内覧に対応する
  5. 購入希望者との価格交渉
  6. 売買契約・手付金の支払い
  7. 手付金以外の物件代金の決済・物件の引き渡し(マンション売却完了)


不動産会社に査定を依頼してから売却完了まで、一般的に3〜6ヶ月ほどかかります。

もちろん物件によってはすぐに売却できたり、逆に売れ残ったりします。

全体の流れと一つ一つのステップに行うことを理解して、効率よくスピーディーな売却を目指しましょう。

①マンション売却価格の相場を調査する

まずは、不動産市場における自分のマンションの価格相場を確認しましょう。

不動産会社による査定を受ける前におおよその価格相場を把握しておくことで、不動産会社の査定が適正価格であるかどうかを判断できます。

価格相場を確認するには、インターネット上の不動産売買サイトを利用する方法がおすすめです。

地域、築年数、物件面積、戸数など、自分の売却予定の物件情報を入力して絞り込み検索することで、自分の物件と条件が似ている物件が、どのくらいの価格で取引されているかを確認できます。

筆者のおすすめは「不動産ジャパン」での調査

筆者としては、公益財団法人不動産流通推進センターが運営している「不動産ジャパン」がおすすめです。

  1. 不動産ジャパンのトップページへアクセスする。
  2. 「不動産物件検索 ・不動産会社情報」タブから「不動産を探す【買う】」をクリック。
  3. 不動産物件検索の「マンション」から、全国の豊富な物件情報を確認できる。

不動産ジャパンで相場を確認する方法

過去の成約価格が分かる「REINS Market Information」

また、国土交通大臣が指定している不動産流通機構が運営している「REINS Market Information(レインズ マーケット インフォメーション)」では、過去の不動産取引における成約価格を知ることができます。

レインズマーケットインフォメーションのサイトキャプチャー

②不動産会社に査定を依頼する

相場を把握したら不動産業者からの査定を受けます。この際の注意点は、1社だけで査定を済まそうとせず、最低でも3社以上の査定を受けることです。

査定は3社以上の不動産会社に依頼すること

なぜなら複数の会社の査定価格を比較することで、それぞれの不動産会社が出した査定価格が適切かを判断することができるからです。

不動産会社が査定する際、主に「取引事例比較法」という手法で査定価格を算出します。これは、過去の成約事例から売却予定物件と似た条件の事例を複数ピックアップし、それを参考に売却予定物件がいくらで売れるかを判断する手法です。

どの事例を参考にするかは不動産会社によって異なりますが、1社だけの査定の場合、参考にした事例によって偏りが出てしまう可能性があります。このため複数の不動産会社からの査定が必要になります。

査定の際は複数の不動産業者からの査定を受けることができる「一括査定サイト」を利用すれば、一度の物件情報の入力で効率よく複数の会社に査定を依頼することができます。

なお、①で調査したおおよその価格相場と、各社からの査定価格を参考に、売り出し価格を決定します。

編集部オススメの記事

一括査定サイトを知らない場合や使い方に不安がある場合は、『不動産売却は一括査定にするべき?一括査定の注意点と活用方法を紹介!』の記事がお役に立つと思います。あわせてチェックしてみてくださいね。

③不動産会社と媒介契約を結んでマンションの販売活動を依頼する

査定を依頼した不動産会社の中から物件の販売活動を依頼する会社を選んで、媒介契約を結びます。

不動産会社の選び方と媒介契約のポイントについては後述する「不動産会社の選び方のポイント」、「不動産会社との媒介契約のポイント」の章で詳しく説明します。

④物件購入を検討している人の内覧に対応する

媒介契約を結んだ後は、不動産会社が主体となって販売活動を行います。

この段階では、売主は、物件購入を検討している人の内覧に対応することがメインとなります。

不動産会社と連絡を密にとって、販売状況を常に把握しましょう。

⑤購入希望者との価格交渉

購入希望者が現れたら、具体的な価格交渉に入ります。多くの場合、購入希望者からは物件価格の値下げの要求がなされます。

物件の価格については、あらかじめ不動産会社と相談した上で、値下げ要求がなされる前提で決めておきましょう。

価格交渉に入る前に、これ以上は値下げできないというラインを決めておくことが大切です。

⑥売買契約・手付金の支払い

売買価格と売買条件について売主と買主の双方の同意に至れば、売買契約の締結に入ります。

一般的には売買契約の際に、買主は売主に対して手付金を支払います。手付金は、購入金額の一部のお金で、売買契約が簡単に解約されないためのものです。

手付金の金額に関しては法律上の定めはありませんが、物件価格の5~10%が相場です。

⑦手付金以外の物件代金の決済・物件の引き渡し(マンション売却完了)

物件を引き渡す日に、手付金を除いた残りの物件代金である残代金が金融機関に振り込まれます。物件の登記も同日に行われます。

物件の鍵と必要書類を渡して、引き渡しは完了となります。

不動産会社の選び方のポイント

信頼できる不動産会社を選ぶ

一括査定サイトを通じて複数の不動産会社に査定依頼したあとは、どの不動産会社と媒介契約を結ぶかを選ぶ必要があります。

マンションの売却をなるべく高く、なるべく早く売るためには、良い不動産会社を選ぶことが大切です。

良い不動産会社」を選ぶ際は、以下の2つのポイントに注目しましょう。

Point1.マンション売却に実績がある

1つ目のポイントは、不動産売却に精通していて過去の実績がある会社を選ぶことです。

不動産会社には、新築マンションの売買専門の会社や管理が専門の業者など様々な種類の会社があります。

マンション売却の経験が豊富な実績のある業者を選びましょう。

Point2.信頼できる

2つ目のポイントは信頼できる会社を選ぶことです。

力を入れて販売活動をしなかったり、こちらの質問に曖昧な返答をしたりする業者に依頼すると、物件が売れ残る、相場よりかなり低い価格で売却されるなど不利な取引になる可能性があります。

信頼できる不動産会社を選ぶにあたって、不動産一括査定サイトは有効です。複数の査定価格を知るだけでなく、信頼できる会社を選ぶためにも利用できます。

査定価格の高さ・低さだけに注目するのではなく、

などを判断し、ほかの会社とも比較して、過去の評判も良い会社を選びましょう。

編集部オススメの記事

マンションを高く売りたい人は、こちらの記事をチェック!特に、急いではないけどマンションの売却を検討し始めている人や、いつ売却しようか悩んでいる人におすすめです。
『マンション売却は築年数「5年ごと」が狙い目!独特の理由を徹底解説』

不動産会社が買主を見つけるルートは2つ

不動産の売却を依頼した場合、不動産会社はどのようにして買主を見つけるのでしょうか。今後の売却活動をイメージしやすくするためにも、かんたんに説明したいと思います。

結論から言うと、不動産会社は2つの方法で買主を見つけます。

  1. 仲介を依頼した不動産会社が、広告活動を通じて買主を見つける
  2. 仲介を依頼した不動産会社が、ほかの不動産会社から買主の紹介を受ける

売主から売却の依頼を受けた不動産会社は、自社のホームページやポータルサイトに物件の募集を掲載したり、電話やチラシなどで買主を募集します。

しかし、不動産会社は自社で買主を見つけるだけではありません。ほかの不動産会社から紹介を受けて買主を見つけることもあります。この場合、売主の依頼を受けた会社は売主から、買主を紹介した会社は買主から仲介手数料を受け取ります。

また、不動産会社の動きとは別に、売主が不動産会社に仲介を依頼した後、親族など売主自身が見つけるパターンもあります。これを自己発見取引といいます。

不動産会社との媒介契約のポイント

ポイントを教えます

不動産会社にマンションの売買の仲介を依頼する場合、契約が必要になります。これを媒介契約と言います。媒介とは仲介と同じ意味です。

不動産会社との媒介契約は3種類です。それぞれ契約条件が異なり、また物件の性質によって合う契約と合わない契約があります。つまり、選んだ媒介契約によっては、思うようにマンションの売却が進まない可能性があります。

ここからは、媒介契約の種類と選び方についてお伝えしていきます。

専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約から選ぶ

媒介契約には、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3つの種類があります。

専属専任媒介契約と専任媒介契約は、1社だけと媒介契約を結ぶ契約方式です。一方、一般媒介契約は、複数の会社と媒介契約を結ぶことができます。

専属専任媒介契約と専任媒介契約の場合、契約するのは1社だけです。「1社だけ」と聞くと、なかなか買主を見つけられないのでは…?と不安に感じるかもしれません。

でも、「1社だけ」という不動産会社にとってうれしい契約である代わりに、不動産会社には“ある義務”が課せられます。この義務があることにより買主が見つかる可能性が高まるため、「1社だけ」ということに不安になる必要はありません。

1社だけとの契約である専属専任媒介契約・専任媒介契約の場合、契約した不動産会社は全国の不動産会社のネットワークシステムである「レインズ」への登録義務があります。

レインズへ登録することによって、ほかの不動産会社とも売却物件の情報は共有されて、他の会社から買主の紹介を受けることができます。

契約の種類 仲介を依頼できる不動産会社の数 買主の見つけ方
専属専任媒介契約 1社
  • 媒介契約した不動産会社(1社)が探す
  • レインズで売却物件情報を見たほかの不動産会社から紹介してもらう
専任媒介契約 1社
  • 媒介契約した不動産会社(1社)が探す
  • レインズで売却物件情報を見たほかの不動産会社から紹介してもらう
  • 売主が探す
一般媒介契約 複数社
  • 媒介契約した不動産会社(複数社)が探す
  • 売主が探す

なお、一般媒介契約でも「レインズ」への登録は可能です。不動産会社に登録義務がないというだけです。

レインズは一定の資格を満たす不動産会社しか利用できないので、一般人である買主が自分で売出物件をレインズに登録することはできません。一般媒介契約でレインズへの登録を希望する場合は、媒介契約した不動産会社へその旨を伝えましょう。

編集部からひとこと

レインズ登録を断ることは買主に不信感を与えることになるので、そうそう断られることはないかと思います。ただ、分譲マンションを相場より破格の値段で売り出すなど、値崩れを引き起こしそうな物件だと、レインズへの登録は積極的になってもらえないかもしれません。

おすすめは、不動産会社が積極的になる「専属専任媒介契約・専任媒介契約」

一見、「複数の会社と契約できる一般媒介契約の方が良さそう」と思われるかもしれません。

しかし、実際に不動産会社を経営している筆者の経験上、専属専任媒介契約・専任媒介契約のほうが良いと考えます。

不動産会社目線の媒介契約の特徴

なぜなら一般媒介契約の場合、複数の不動産会社の競争になるため、広告費をかけて販売しても、ほかの会社で売買契約したらまったくお金になりません。このため、一般媒介契約の場合は、不動産会社のやる気が上がらない傾向があります。

一方、専属専任媒介契約・専任媒介契約は「1社のみとの契約」であるため、一般媒介契約で起こりえる「ほかの会社で売買契約される」というリスクがほぼありません。

また、専属専任媒介契約、専任媒介契約の場合、自社で買主を見つければ売主と買主の双方から仲介手数料を受け取ることができます。他社が買主を見つけて売買契約が成立した場合でも、売主からの仲介手数料が入ることが確定しています。

このため不動産会社は、一般媒介契約よりも専属専任媒介契約か専任媒介契約の契約の方が積極的に活動する傾向があります。

これが、筆者が一般媒介契約より専属専任媒介契約・専任媒介契約をおすすめする理由です。

ただし都心で築浅など、競争力の高い物件の場合は、「一般媒介契約」の方がより高く売れる可能性があります。

媒介契約で迷ったら「専任媒介契約」

多くの物件の場合では、専任媒介契約がおすすめです。

専属専任媒介契約と専任媒介契約の大きな違いは、契約中に自分で取引相手を見つけて取引を行う「自己発見取引」が認められているかどうかです。専属専任媒介契約では自己発見取引は認められていません。

例えば、親族や知り合いなどからが物件を買いたい、と申し出があった場合でも、専属専任媒介契約だと不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。

このため、媒介契約で迷ったら専任媒介契約がおすすめです。

なお、専属専任媒介契約・専任媒介契約ともに契約期間は最大3ヶ月です。もしも最初の会社の働きに満足できなかった場合は、別の会社に切り替えることも可能です。

編集部オススメの記事

媒介契約についてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事がオススメです。
『不動産を売却する際の媒介契約は3種類!それぞれの特徴を徹底解説!』

マンションは売却して終わりじゃない!税金のことを知ろう

不動産売却で発生する税金

マンションをぶじ売却できたらひと安心・・・ではありません。

売却によって「譲渡所得」を得たら税金を支払う必要があり、普段の生活を考えると大きな額が出ていく可能性があります。

売却を検討している段階で税金のことまで考えている人は少ないでしょう。しかし、無駄にお金を払わなくて済む税制上の「特例」があり、ぜひ皆さんに知っておいてほしいと思います。

というのも、特例を利用するには自分で確定申告する必要があるためです。知っている限りですが、大手不動産会社は特例について教えてくれます。しかし、万が一誰も教えてくれなければ、損してしまうかもしれません。

賢くマンション売却したいなら、ぜひ一度読んでみてくださいね。

課税対象となる譲渡所得の求め方

不動産を購入する場合は「不動産取得税」がかかります。一方、不動産を売却する場合にかかる税金は「所得税・住民税・復興特別所得税」の3つです。

サラリーマンとして働いて支給される給与に所得税がかかるのと同じで、売却で得たお金にも所得税がかかるのです。

課税の対象となるのは「売却額」ではありません。課税対象は「譲渡所得」であり、下記の計算式をベースに求めることができます。

譲渡所得=売却額-売却費用-取得費
※譲渡費用とは、仲介手数料等や売却に要した費用のこと。
※取得費とは、マンションの購入額(購入にかかった諸費用を含む)から減価償却費を差し引いた金額のこと。

取得費が分からないと譲渡所得が高くなってしまう

取得費が分からない場合は、概算取得費で譲渡所得を算出します。

概算取得費=売却額×5%

ただ、できる限り取得費が分かる資料を集める努力をしたほうが良いです。取得費が分からないと、課税対象となる譲渡所得の額が大きくなってしまうためです。

仮に、取得額が3,000万円のマンションを3,200万円で売却できたとしましょう。宅地建物業法上の定めで、売却費用である仲介手数料は最大99万円かかります。

譲渡所得=売却額3,200万円-売却費用99万円-取得費3,000万円
    =101万円

もしマンションの購入にかかった金額が不明な場合、概算取得費で考えることになり、

概算取得費=売却額3,200万円×5%
     =160万円

譲渡所得=売却額3,200万円-売却費用99万円-概算取得費160万円
    =2,941万円

このように取得費が分からないと、課税対象となる譲渡所得は2,840万円も増えてしまいます

取得費が分かるように、当時の資料集め等できる限りの努力をしましょう。

譲渡所得にかかる税率

譲渡所得にかかる税率は、マンションの所有期間で異なります。

所有年数と税率の一覧
所有期間 所得税 住民税 合計税率
5年以下(短期譲渡所得) 30% 9% 39%
5年超え(長期譲渡所得) 15% 5% 20%

なお、平成25年から平成49年までに譲渡所得が生じた場合、上記の所得税・住民税とあわせて「復興特別所得税」を納めることになっています。

所有期間に関わらず税率は2.1%で、「所得税」に対して課税されます。
※参考:国税庁ホームページ

復興特別所得税を加味すると、譲渡所得にかかる税率は以下になります。

所有年数と税率の一覧(復興特別所得税を加味した場合)
所有期間 所得税 住民税 合計税率
5年以下(短期譲渡所得) 30.63% 9% 39.63%
5年超え(長期譲渡所得) 15.315% 5% 20.315%

譲渡所得にこの税率をかけることで、納めるべき税額を計算することができます。

税金の計算例

例として、下記条件でマンションを売却できたケースで考えてみましょう。

売却費用である仲介手数料は、宅地建物業法上の定めで最大99万円(※)かかります。よって、譲渡所得は下記で計算することができます。

※売却額400万円以上の場合、≪売却額×3%+6万円≫が上限となっています(2018年11月現在)

譲渡所得=売却額3,200万円-売却費用99万円-取得費3,000万円
    =101万円

所有期間は7年なので、上記は「長期譲渡所得」に該当します。よって、適用する税率は20.315%となり、税金は下記で計算することができます。

税額=譲渡所得101万円×税率20.315%
  =20万5,181円

ちなみに、この事例で取得費が分からなければ、税額は597万4,641円となります。

いずれにしても、気軽に払える額ではありません。この納税額はイタイ!と思う人が多いのではないでしょうか。

そこで出でくるのが、節税になる「特例」の存在です。

節税対策!マンション売却で使える特例~利益が出た場合(3つ)~

幸せな家族の様子

ここからは、マンションを売却する際に節税に使える特例について説明していきます。

紹介する全ての特例は、確定申告を行わないと適用を受けられないので注意しましょう。

まず、マンション売却で利益が出た場合に使える特例は以下の3つです。「利益が出た」とは、前章で説明した「譲渡所得」がプラスになる場合を指します。

売却で利益が出た場合に使える特例

  1. 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
  2. 10年超所有軽減税率の特例
  3. 特定居住用財産の買換え特例

①と②の特例は、条件が合えば併用することができます。③の特例は、①②の特例と併用できません。

特例において使われる「譲渡」という言葉は、有償・無償を問わず資産を移転させることを指す言葉です。

ここでは「譲渡=売却」と考えて大丈夫です。

①居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

居住用財産を譲渡して譲渡益が出た場合、所有期間に関係なく譲渡所得から3,000万円を控除することができる特例です。

かんたんに言うと、マイホームを売却してプラスの儲けが出た場合に、「課税対象となる金額を3,000万円減らしてもらえる=払う税金が少なくなる」ということです。

つまり譲渡益が3,000万円以下なら、課税額がゼロになるということです。

3年に1度の適用制限があります。譲渡益が出た場合に、もっとも利用される特例です。

②10年超所有軽減税率の特例

10年超所有軽減税率の特例は、居住用財産を譲渡して譲渡益が出た場合に利用できる特例のひとつです。

かんたんに言えば、10年以上住んでいるマイホームを売却して利益が出た時に、その利益にかかる税金が安くなる特例です。

この特例によって、下記のように譲渡所得の税率が軽減されます。

課税対象 課税税率
特例適用前 課税譲渡所得全額 20.315%(所得税15.315% 住民税5%)
特例適用後 課税譲渡所得が6,000万円以下の部分 14.210%(所得税10.21% 住民税4%)
課税譲渡所得が6,000万円超の部分 20.315%(所得税15.315% 住民税5%)

6,000万円超の部分は、長期譲渡所得の課税税率と同じです。この特例によって6,000万円以下の部分については、税率が6.105%も軽減されます。

①の「3,000万円の特別控除」との併用が可能です。

不動産を譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が10年以上の場合に適用可能です。3年に1度の適用制限があります。

③特定居住用財産の買換え特例

特定居住用財産の買換え特例は、居住用財産を譲渡して譲渡益が出た場合に利用できる特例のひとつです。

買い替え先の物件の購入金額が譲渡益を上回る場合、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。

・・・難しいですね。
何が何だか分からない人が多いと思いますので、もう少しかんたんに説明しましょう。

マイホームを売って利益が出たら、ふつうはその利益に税金がかかります。だけどその利益より、次の家の購入価格が高い場合、新しい家に住むのにお金が足りない状況です。

ただでさえ新しい家を買うお金が足りない状況なのに、出た利益に対して税金がかかったら次の家を買うためのお金が少なくなっちゃう。だから今回の利益分に対する税金は、次の家を売るまで保留にしときましょう、という特例です。

注意点として、買い替えた物件を将来譲渡する時まで、つまり、新しく購入した物件を将来売却する時まで課税を延ばす特例であり、譲渡益が非課税になるわけではありません。

譲渡した年の1月1日時点で、居住期間が10年以上であることが主な適用条件となります。

節税対策!マンション売却で使える特例~損失が出た場合(2つ)~

困っている夫婦

残念ながらマンション売却で損失が出た場合、使える特例は以下の2つです。「損失が出た」とは、「譲渡所得」がマイナスになる場合を指します。

売却で損失が出た場合に使える特例

  1. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  2. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

前章で説明したとおり、ここでも「譲渡=売却」と考えて大丈夫です。

①居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越 控除」は、居住用財産を売却して居住用財産を買い替えた際、譲渡損失が出た場合に適用される特例です。

難しい単語が多くて頭が痛くなりそうですよね…。

かんたんにいえば、家を買い替える際、家を売って出た損の分だけ、給料に対する税金など“ほかの払うはずだった税金”を引いていく特例です。だから税金が安くなります。

この特例では、損益通算を行い、損益通算で相殺しきれなかった分を翌年以降の3年間の所得から控除することができます。

例えば500万円の給与所得がある人が、平成30年にマイホームを買い替えて600万円の譲渡損失が出たとします。

この場合、損益通算によって課税対象となる給与所得はゼロとなります。

損益通算で相殺しきれなかった赤字分は、繰越控除によって翌年の給与所得から控除することができます。この場合、翌年の給与所得が同じ500万円とすると、500万円から赤字分の100万円を控除して給与所得は400万円となります。

損益通算・繰越控除の計算例
損益通算の計算 課税対象となる給与所得額
売却で損失が出る前 損益通算なし 500万円
平成30年 給与所得500万円-譲渡損失600万円=▲100万円 0円
平成31年 給与所得500万円-前年に相殺しきれなかった赤字分100万円=400万円 400万円

②特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

住宅ローン残高が残っているマイホームを譲渡して、譲渡損失が出た場合に適用される特例です。買い替えでなくても利用できます。

こちらも難しいと思うので、分かりやすく説明すると…

家を売った際、買った時より売れたお金が安いと損をしますよね。また、ローンが残ってるのに、家を売って得たお金でローンを全部返しきれないのも困りますよね。

この2つのうち金額が小さい方について、“ほかの払うはずだった税金(給料に対する税金など)”から引いてくれる特例です。だから税金が安くなります。

例えば、購入金額3,000万円/住宅ローン残高1,500万円のマンションを1,000万円で売却したとします。

マイホーム売却による譲渡損失 売却価格1,000万円-購入価格3,000万円=▲2,000万円
マイホーム売却後の住宅ローン残債 住宅ローン残債1,500万円-売却で手に入った1,000万円=500万円

「譲渡損失(2,000万円)」より「マイホーム売却後の住宅ローンの残債金額(500万円)」のほうが小さい金額となるため、損益通算の限度額は500万円となります。

損益通算しても控除しきれなかった場合は、その赤字分を翌年以降の3年間の所得から控除することができます。(繰越控除)

マンション売却に関するよくある疑問・質問

Q&A

ここからは、マンション売却に関するよくある疑問・質問について解説していきます。

これらのよくある疑問・質問は、不動産を経営している筆者が、普段やり取りをしている不動産のスタッフから聞いた内容です。

これからマンション売却をおこなう人の参考になるかと思います。

Q.マンション売却にかかる費用はどのくらい?

マンション売却にかかる費用は、売却価格によって大きく異なります。

売却にかかる主な費用は以下のとおりです。


マンション売却で買主が負担する主な費用
費用の種類 費用の目安
仲介手数料 仲介してくれた不動産会社に支払う報酬金で、売却価格や不動産会社によって金額が異なる。法律で上限が定められており、《売買価格(税抜)×3%+6万円》に消費税を掛けることで求めることができる。(売却価格が400万円超の場合)
仮に売却価格3,000万円なら、最大で103万6,800円かかる。
印紙税

売買契約書に貼る印紙で、売却価格で金額が異なる。仮に売却価格3,000万円なら、1万円かかる。

登記費用 抵当権抹消登記にかかる登録免許税。不動産1件につき1,000円。マンションの場合は土地+建物の2件で2,000円。マンションが登記上2つの土地にまたがっている場合は「3件」の扱いとなり、3,000円かかる。なお、抵当権がついていなければこの費用は不要。
司法書士報酬 抵当権抹消登記が必要な場合に、5,000円〜10,000円程度かかる。司法書士による。

なお、譲渡益が出た場合は、上記以外に譲渡所得税がかかります。

Q.今のマンションに住宅ローンが残っていても売却できる?

マンションの譲渡金額で住宅ローンを完済できるなら、住宅ローンが残っていても売却は可能です。

もし、住宅ローンがかなり残っていて、譲渡金額だけではカバーできない場合は、

  • 自己資金から捻出する
  • 新しい住宅の購入資金にローン残債分を含めた「買い替えローン」を利用する

などの手段をとることで、売却が可能になります。

Q.マンションの売却価格の決め方は?

マンションの売却価格は、3つの価格「最低価格」「希望価格」「査定価格」を参考に決定するのがおすすめです。

  • 最低価格」…ローン残債などを考えると「この価格で売れないと困る!」という最低ライン
  • 希望価格」…売りたいマンションと似た物件の成約事例の中から、高く売れた事例を参考に決める。
  • 査定価格」…不動産会社が査定した価格

これら3つの価格を参考に、不動産会社と相談しながら決定しましょう。

Q.マンションは売却と賃貸、どっちが良い?

売却と賃貸は、まったく別のマンションの処分方法と考えた方が正しいです。

なぜなら賃貸の場合、物件の入居者の募集や対応、空室リスクの管理など、不動産経営を始めるという意識が必要と言えるからです。

将来的に物件を管理・運営していくつもりがないなら、売却した方が良いでしょう。

Q.マンション売却前にリフォームは必要?

マンション売却前にリフォームは必須ではありません。

しかし、売却前にリフォーム代金の見積もりを取っておくことは大切です。

リフォームを理由に値引き交渉があった場合、リフォームの見積もりと値引き額を照らし合わせて、いずれか有利な方を選ぶことができます。

まとめ

それではマンション売却についておさらいしましょう。

記事のおさらい

  • マンション売却前に、買主に説明できるように売却理由を整理しておく
  • マンションは査定から売却まで平均で3ヶ月から半年ほどかかる
  • マンション売却までの全体の流れを把握して、今やることを明確にする
  • 媒介契約で迷ったら専任媒介契約を選ぶ
  • 居住用のマンションを売却した場合、利益が出ても損失が出ても特例を活用する

今回ご紹介した内容を一度に理解する必要はありません。

「マンション売却を決めてから売買契約成立までの流れ」の項目を参考に、一つ一つ今の自分の段階に合った行動を取っていきましょう。

今回の記事がマンション売却のための参考になれば幸いです。

執筆者の中村裕介さんの写真

不動産ライター兼不動産経営者

中村裕介

保有資格:宅地建物取引士、保育士

1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。 商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。 趣味はフットサル、旅行、読書。美容と健康のために毎日リンゴ人参ジュース飲んでます。

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